新型E353系登場の影で、地味だけど存在感…都心横断特急E257系「あずさ30号」

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松本発千葉行き、E257系「あずさ30号」(4080M)から見えた車窓
松本発千葉行き、E257系「あずさ30号」(4080M)から見えた車窓 全 16 枚 拡大写真

北陸新幹線延伸や観光列車人気などで、鉄道の旅が注目されている首都圏。その影で、定期券と特急券で普通車自由席に乗車できる在来線特急も健在。ビジネス客や観光客を乗せ、都心を横断する特急「あずさ30号」もそんな列車のひとつだ。

首都圏では、東海道・東北・上越方面の新幹線網が拡充していくにつれて在来線特急が次々と消滅。東京エリアと各地を結ぶ在来線特急は、空港連絡「成田エクスプレス」、水戸方面「ひたち・ときわ」、高崎方面「あかぎ・草津」、日光方面「日光・きぬがわ」、松本方面「あずさ・かいじ」、伊豆方面「踊り子」、房総方面「わかしお・さざなみ・しおさい」など7方面で残っている。

そのなかでも、東京を横断し、千葉と松本・南小谷を結ぶ「あずさ3号・30号」は、首都圏の特急としては“長距離グループ”に入る。新型車両「E353系」の登場で注目されている中央線の塩尻から、この“都心横断版あずさ”を担うE257系に乗って船橋へ向かってみた。

特急「あずさ30号」(4080M、平日運転)は、松本(17:18発)と千葉(20:50着)の間、271.5kmを3時間32分かけて行く。車窓右手に諏訪湖、左手に八ヶ岳が映るあたりでは、釜無川に沿ってゆっくりと駆ける。中央道をひた走る高速バスを追い抜き、追い抜かれて…。

岡谷、上諏訪、小淵沢、甲府と止まるたびに、ひと仕事終えたと思しきビジネス客がこの列車に乗り込み、すぐに「パシュッ」という缶ビールを開ける音が聞こえてくる。車内アナウンスで車掌が「ワゴン販売は2台向かっています。どうぞご利用ください」と伝えれば、車内販売スタッフが「牛肉弁当、アルプス弁当、信玄餅などはいかがでしょうか」と続く。

大月では、富士山を愛でたインバウンドの姿。指定された座席位置がわからず通路で立ち止まるオーストラリアからの家族を、新宿運輸区の車掌が身振り手振りで案内していた。

この都心を横断する特急「あずさ30号」は、松本から千葉まで新宿運輸区の車掌(2人)が担当。「湘南新宿ラインなども担当する」という車掌は、「きょうはこのまま終点の千葉で一泊して、翌日の千葉発の仕業に就く。運転士は八王子・新宿・錦糸町で交代する」と教えてくれた。

千葉(千葉6:38発)から南小谷(11:42着)へ向かう特急「あずさ3号」(4053M、平日運転)は、「30号」よりもロングランとなる341.6km、5時間4分の旅。都心を横断する列車があれば、縦断する列車もある。黒磯(6:52発)と熱海(11:29着)を結ぶ「上野・東京ライン」(1545E、土曜・休日運転)は、267.9kmを4時間37分かけて走っている。

歌舞伎町のネオンが車窓に映り新宿に到着。「あずさ30号」の車内は、新宿を境に一変。千葉行きE257系は、新宿で車内販売スタッフや観光客を降ろし、家路を急ぐ通勤客を乗せてほぼ満席とし、スピードをおさえて四ツ谷を通過。秋葉原の手前で中央線から総武線へと移り、ふたたび速度を上げていく。

その走りっぷりは、山間を行く小淵沢付近や、中央線の快速電車と歩調をあわせてすすむ新宿付近とは違い、「成田エクスプレス」に近いハイペース。江戸川をまたぐ鉄橋や船橋駅の手前では、車窓に京成電車の姿が映っていた。

《レスポンス編集部》

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