【レンジローバー スポーツ SVR 試乗】究極のベンチマークとなる究極のSUV…山崎元裕

試乗記 輸入車
レンジローバー スポーツ SVR
レンジローバー スポーツ SVR 全 24 枚 拡大写真

8分14秒。これは『レンジローバースポーツSVR』が、ニュルブルクリンクのノルドシュラウイフェでマークした、SUV最速のラップタイムだ。SVRの開発を担当したのは、ジャガーランドローバー社内に組織される、SVO=スペシャル・ヴィークル・オペレーションズ。レンジローバースポーツSVRは、その開発段階から世界最速のSUVとなることを第一の目標に掲げた、彼らの野心作なのである。

【画像全24枚】

そのレンジローバースポーツSVRのパフォーマンスを堪能するには、やはりサーキットがベストなシチュエーションというわけなのだろう。彼らはテストドライブの舞台に、ニューヨーク近郊のプライベートサーキットを用意してくれた。ここまではある程度は予想できた展開だったのだが、実際のプログラムは、これまでに経験したことのないものだった。

まずはサーキットに併設されるオフロードコースで、レンジローバー伝統の走破性を確認した後、試乗車を乗り換えることなく、そのままサーキット走行を体験してみろというのだ。オフロードでの走りは、テレインレスポンスシステムや、ヒルディセンドコントロールなど、最新の電子制御デバイスが常に最高のトラクションとスタビリティを実現してくれるため、かなりの難コースでもストレスをほとんど感じさせない。

オフロードセッションの最後には、スチール製のスロープが用意されていた。最初は日本のオフロードパークでも良く見られる、シーソーなのかと思ったが、これは高圧洗浄機でアンダーボディーやタイヤをクリーニングするためのもの。これが同じ試乗車でオフロードとサーキットを走るための、大切な儀式だったのだ。

テレインレスポンスシステムでオートモードを選択すれば、レンジローバースポーツSVRをオンコースさせる準備は完了だ。タイヤだけは、ピレリ製のオールシーズン、「スコーピオン・ヴェルデ」をそのまま使用することになったが、それがわずかなハンデとなるだけで、SVRはサーキットで実に素晴らしい走りを披露してくれたのだ。

搭載されるエンジンは、最高出力がSVOのチューニングで550psにまで高められた、5リットル仕様のV型8気筒+スーパーチャージャー。まずはそのパワーフィールに圧倒され、そして組み合わされる8速ATのスムーズなシフト制御に感動を受ける。パドルによるマニュアル操作を行えば、瞬時に希望するギアへのシフトが終了するから、コーナリング時にはステアリングとブレーキの操作に、神経を集中することができる。

これが、2335kgものウエイトを、スペックシートに掲げるSUVの加速なのか。SVOが発表した4.7秒の0-100km/h加速、あるいはリミッター作動による260km/hの最高速が誇張ではないこと。それを確信できた加速だった。

ちなみにフロントブレーキには、ブレンボ製の6ピストンが与えられ、またエアサスペンションには6段階のモードが用意されている。サーキットでは当然、最もスパルタンなセッティングを選択したが、それでも乗り心地からは、プレミアムSUVとしての高級感というものが常に感じられた。

ナチュラルなコーナリングマナーは、SVRの大きな魅力だ。そのフォルムからも想像できるように、重心高はそれなりに高い位置にあるはずなのだが、そのハンデをコーナリングの中で感じさせないのは、さすがはSVOの仕事。躊躇なくアクセルを踏み込み、そしてまた躊躇なくコーナリングを楽しめることを知ってからは、サーキット走行はさらに魅力的な、そしてまた刺激的な時間となった。

さらにタイヤをグリップ志向のオンロード用にチェンジしたらどうなるのか。SVOは標準で20インチ、オプションでは21インチのホイールを用意するが、その効果はいずれのサイズでも大きいはずだ。

エクステリアとインテリアのフィニッシュも、このクラスのSUVを求めるカスタマーからも高く支持されるものだろう。ここまでにスタイリッシュでクオリティが高いエクステリアとインテリアを持ち、これだけのパフォーマンスをオンロードでも、そしてオフロードでも実現したモデルが、これまでSUVの世界に存在しただろうか。レンジローバースポーツSVR。それは究極のSUVであり、そして今後は世界中のメーカーから、究極のベンチマークとして、常に強く意識されるモデルとなるに違いない。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

山崎元裕|モーター・ジャーナリスト(日本自動車ジャーナリスト協会会員)
1963年新潟市生まれ、青山学院大学理工学部機械工学科卒業。少年期にスーパーカーブームの洗礼を受け、大学で機械工学を学ぶことを決意。自動車雑誌編集部を経て、モーター・ジャーナリストとして独立する。現在でも、最も熱くなれるのは、スーパーカー&プレミアムカーの世界。それらのニューモデルが誕生 するモーターショーという場所は、必ず自分自身で取材したいという徹底したポリシーを持つ。

《山崎 元裕》

ピックアップ

レスポンス公式TikTok

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 見た目はアウディ、中身はポルシェ!? 次期型『マカン』、エンジン車は2028年登場か
  2. BYDの軽EV『ラッコ』に1週間乗って見えてきたこと---9月の試乗記ベスト5
  3. 「カッコ良すぎて夢に出そう」カワサキの新型スーパーチャージャーバイク『Ninja H2 CARBON』にSNSでは期待の声
  4. 【BYD ラッコ 新型試乗】1週間、日常使いをしてわかった「2つのメリット」と「3つの課題」…中村孝仁
  5. トヨタ『C-HR』、「GRスポーツ」に新色オニキスグレーマットと20インチホイール採用…欧州発売10周年記念
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 【全文PDFプレカン】日産自動車 長期ビジョン発表会
  2. セレンスAIの緊急車両検知技術、東大発「AS Mobi」の自動運転バスに導入…2027年商用化めざす
  3. 光岡の新型オープン2シーター、写真公開…正式発表は11月26日
  4. EU「欧州製EV」優遇へ、産業加速法を審議---売れるEVと売れないEV
  5. 【ホンダ スーパーワン】CMFで“刺激”表現、『N-ONE e:』との同時開発だからこそできた差別化とは
ランキングをもっと見る