【ボルボ V40 D4 ポールスターパッケージ 試乗】ハイパフォーマンス・ディーゼル時代の幕開け…中村孝仁

試乗記 輸入車
ボルボ V40 D4 ポールスター パフォーマンス パッケージ
ボルボ V40 D4 ポールスター パフォーマンス パッケージ 全 10 枚 拡大写真

その昔、ボルトオンターボとかロムチューンなど、後付けのエンジンチューニングが盛んに行われた時代があった。勿論今も存在するが、ついにメーカーがそれをやりだした。ボルボの「ポールスター・パフォーマンス・パッケージ」がそれだ。

ポールスターとは、ボルボのハイパフォーマンスモデルに付けられる名前だが、元来チューナーとして1996年に創業されたメーカーである。創業時からボルボがオフィシャルパートナーとなり、最初は主にレース活動で協力関係を築いていたが、2009年からはオフィシャルパフォーマンスパートナーとしてコンプリートカーの開発でもタッグを組んだ。そして2015年、ボルボは正式にポールスター社を100%傘下に収め、ボルボがポールスターの名称をハイパフォーマンスカーに付けることになった。つまりはメルセデスにおけるAMGのような存在といえばわかり易い。

今回登場したポールスター・パフォーマンス・パッケージは、冒頭に書いたロムチューンだ。つまりもし今あなたがボルボのD4エンジンを搭載したモデルをお持ちなら、それをボルボに持ち込めばアップグレードすることが出来るというもの。市中のチューナーが行うロムチューンは信用が置けないというユーザーには朗報で、メーカーの保証が受けられるうえ、何よりも本国のポールスター本社に紐づけされて、仕様に合わせたチューニングロムの提供を受けられるというのが有り難い。

お値段は税込み工賃込みで18万8000円。そして得られる性能はというと、通常190psのパワーが200psに。最大トルクは400Nmが440Nmに引き上げられる。とりわけ中速域のパワー、トルクが増大し乗り易さも加わる。さらにアクセルレスポンス、ギアチェンジスピードなども改善されるという。因みにこの仕様のコンプリートカーはなく、あくまでも後付けが基本である。

というわけで今回試乗したモデルは既走行モデルにロムチューンを施した『V40 D4』である。つまり完全な新車ではない。今回のパッケージはあくまでもエンジンチューンのみだから、足回りは何ら手を入れていないし、ブレーキも既存のD4のままである。+10ps、+40Nmの性能差というのは、さっと乗っただけでそう簡単に感じ取れるものではない。ノーマルD4と乗り換えて初めて実感できるものだと思う。その意味では実際それまで乗っていた自分のD4にポールスターパッケージを組み込んで乗り出せば、鮮明な違いを体感できるはずだから、まさにオーナーの特権になる。

残念ながらV40 D4同士の乗り換えは叶わなかったが、より車重の重い『XC60 D4ポールスター・パフォーマンス・パッケージ』との乗り比べをした結果、車重の軽いV40では明確なスロットルレスポンスの早さを体感できた。元々トルクの厚みは十分すぎるほどあり、パフォーマンスに大きな不満を感じるものではなかったから、スロットルレスポンスが向上し、シフトチェンジのスピードが上がれば、本格的なハイパフォーマンスモデルとして十分に成立する素養を持っていると思える。

ポールスター社を100%買収したことで、ボルボがハイパフォーマンスカー製作の道を開いたことが明らかになった。次のポールスターがいかなるものか、楽しみである。

■5つ星評価
パッケージング ★★★
インテリア居住性 ★★★
パワーソース ★★★★★
フットワーク ★★★★★
おすすめ度 ★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来37年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 【スズキ ソリオ 新型試乗】乗り心地と静粛性はクラストップ、だが「損をしている」と思うのは…中村孝仁
  2. 日産 リーフ 新型を発表、第3世代は航続600km超のクロスオーバーEV
  3. サブコンが再評価される理由と純正ECU時代の新常識~カスタムHOW TO~
  4. 伝説のACコブラが復活、「GTロードスター」量産開始
  5. 日産 リーフ 新型の価格を予想する!…ベースは400万円台前半か
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. BYD、認定中古車にも「10年30万km」バッテリーSoH保証適用
  2. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
  3. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  4. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  5. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
ランキングをもっと見る