【三菱 アウトランダーPHEV 試乗】“基本はEV”、すんなり乗れて実用的…島崎七生人

試乗記 国産車
三菱アウトランダーPHEV
三菱アウトランダーPHEV 全 10 枚 拡大写真
新しい『アウトランダーPHEV』に改めて乗り「やるなぁ」と思った。試乗会ではわからなかった発見が多々あったからだ。今や競合SUVは多いが、走りの実力はライバル車の中でも有数といえる。

“基本はEV”であるのが同車の特徴だが、そこに磨きをかけた。スムースで、耳触りなメカノイズが以前より少なく(小さく)なり、力強い走りを堪能させてくれる。充電量が十分なレベルなら、街中でのやや強めかな?と 思える加速から高速走行までモーターで走り切る。(当然だが)通常のハイブリッド車に慣れた感覚なら「こんなに広範囲、長い距離をモーターで走れるのか」と感じるだろう。回生ブレーキと走りながらエンジンに発電をさせた際の充電量の回復は(定量的な表現ではないが)感覚的にはかなり早く、メーターを見ていると、1時間程度の走行で目盛りが下から上のほうへと上った。一方で適宜エンジンに切り替わっての高速走行も快適で十分なアクセルレスポンスを示す。

EV走行中のロードノイズも、さらに抑え込まれた。音が立つはずの舗装路面でも静かに思えるレベルだ。乗り味もゆったりしている。

今回はスケジュールの都合で“充電スタンド”は使わなかったが、電力消費にハラハラすることもあるスマホなどとは違ってバッテリーの残量を気にしないで済むのは(これも当然ながら)通常のEVに対する大きなアドバンテージだ。

エンジンが加わっての走りも、より洗練されたドライバビリティになった。ただ、メーター内のマルチインフォメーションディスプレイの切り替えスイッチは、ステアリングコラム右側のライトスイッチ(レバー)にちょうど隠れる位置にあり、暫く見つけられなかった。これはステアリングスイッチのほうが親切かもしれない。ついでながら、インテリアは質感は十分だが、メカニズムの先進性に対し、デザインの新しさは少し物足りない。

ウエストラインが高めで、やや大柄に感じるボディは、人によっては少し慣れが必要かもしれない。ただし最小回転半径は5.3mで、実際にはかなり小回りが効く印象なのは助かるし、少しシート位置を高くすれば、フード全体が視界に入る。

あえて日常の中で普通に乗って、実用性は十分に高いと実感した。理屈っぽくなくすんなりと乗れるのもいい。乗り味も上級サルーンのようで、満足度は高い。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★


島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

《島崎七生人》

島崎七生人

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト 1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 「思ったよりだいぶ安い」トヨタ『GRヤリス』に新登場、エアロパフォーマンスパッケージに絶賛の声
  2. メルセデスベンツ『Cクラス』次期型を予告、光る大型グリル採用…初のEVも設定へ
  3. 「TWIN TURBOのロゴ懐かしい!」Z32ファン感涙、レトロ感あふれる新型『フェアレディZ』が話題に
  4. 「動画を観る」もっとも良い方法とは? トヨタ車純正ディスプレイオーディオ搭載車の場合は?[車内エンタメ最新事情]
  5. 【ジープ レネゲード eハイブリッド 新型試乗】レネゲード、ここにいよいよ極まれり…島崎七生人
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
ランキングをもっと見る