【SUPER GT 第6戦】GT300クラスは土屋武士&松井孝允のVivaC 86 MCが優勝

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優勝した#25 VivaC 86 MC。
優勝した#25 VivaC 86 MC。 全 16 枚 拡大写真

20日、スポーツランドSUGO(宮城県)で開催されたSUPER GT 第6戦決勝、GT300クラスは土屋武士&松井孝允のVivaC 86 MCが優勝を飾った。これは今季から同クラスに本格導入された「マザーシャシー」使用マシンによる初優勝である。

日本レース界の“モノづくり”の力の継承を目的に、比較的安価なマザーシャシー(共通モノコック)を使って、各チームが独自のマシン開発を行なえるように、というのがシリーズ運営団体GTAによる“GT300マザーシャシー計画”の発動理由。そして本格導入の今季、それに真っ先に取り組んだのが、日本レース界きっての名工として知られる父・春雄氏から“つちやエンジニアリング”を継いだかたちになる土屋武士だ。春雄氏も監督として参画する頼もしい体制下、マザーシャシーベースの「トヨタ86」として#25 VivaC 86 MC(タイヤはヨコハマ=YH)を仕立て、GT300に参戦してきた。

武士はレーサー兼チーム代表兼エンジニアとして、「パートナーや同志たち」と語る仲間とともに、そして「もう10年くらい一緒にいる」という後輩・松井とともに、このプロジェクトに取り組んだ。そしてついにマザーシャシー車による初優勝を、それも本格参戦初年度のうちに成し遂げたわけだが、その喜びはかつてGT500やフォーミュラ・ニッポン(現スーパーフォーミュラ)の最前線で活躍し、GT300では何度も優勝しているベテランドライバー武士にとっても、格別のものだったようだ。

「チェッカーを受けた瞬間は今までに味わったことのない感情、喜びでしたね。あまりに嬉しくて、これでもうドライバーはやめてもいいかな、と思ったくらいでした。父から継いだ昭和の匂いプンプンのチームを残していくということをやってきて、もちろん大変なことですけど、本当に良かったと思います」

GT300初優勝の松井は「マシンがSUGOのコースに合っていたと思います」と振り返る。ただ、「無線が使えないトラブルがありました」とのことで、ピットタイミングとなるセーフティカー導入時の判断に関しては、「ピットから『もしOPEN』とだけホワイトボードに書いて示されたので、ピットロードが開いたら入れ、という意味だと思って入りました。普段から(武士やチームのメンバーと)一緒にいる時間が長いからこそのコミュニケーションだったと思います」との旨を話し、喜びと充実感を漂わせた。

「僕が(ホワイトボードに)書きました」という武士は、「シフト関係のトラブルも出たりしていましたが」というマシンをなだめつつ、トップチェッカーへ。この日は予選2位からの発進、前半担当の松井が早い段階でトップに立ったことが活きての展開に、「こういう日を夢見てきました。今日の勝利はタカミツ(松井)が手繰り寄せてくれたと思います」と、後輩を讃える。もちろん彼らの戦いはこれがゴールではないが、夢に向かっての努力と研鑽の日々のなか、いろいろな意味で大きな達成感に辿り着いた、記念すべき日となった。

SC出動によってピット出口渋滞が発生するなどしたレース3分の1時点での混乱は、主にGT300クラスのマシン群を直撃。運・不運も交錯する展開となり、ポール発進だった#55 ARTA CR-Z GT(高木真一&小林崇志/ブリヂストン=BS)は最終的にポイント圏外の12位だった。決勝2~6位は以下の通り。

2位 #31 TOYOTA PRIUS apr GT(嵯峨宏紀&中山雄一/BS)
3位 #11 GAINER TANAX SLS(平中克幸&B.ビルドハイム/ダンロップ=DL)
4位 #88 マネパ ランボルギーニ GT3(織戸学&平峰一貴/YH)
5位 #61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人&山内英輝/DL)
6位 #10 GAINER TANAX GT-R(A.クート&富田竜一郎/DL)

ドライバーズポイント首位のアンドレ・クートが乗り組む#10 GT-Rは計算上のウエイトハンデが138kgだった。規定の上限である100kgを積んでの臨戦で、予選8位から6位入賞は素晴らしい結果である。クートは、実質ランク2位に上がってきた#31 プリウスの嵯峨&中山に25点差(手元計算)と、依然として首位独走。次戦で戴冠確定となる可能性も高い。あるいは後続が意地を見せて、最終戦に持ち込むかどうか。

次戦第7戦は九州のオートポリスが舞台。10月31日~11月1日に開催される。

《遠藤俊幸》

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