ヘルメットの次はプロテクター装着を――。全国の警察でライダーのプロテクター着用を促す運動が展開されている。その先駆けである警視庁は官民共同で2年前に「プロテクター普及推進隊」を結成した。
交通部は今年8月現在までに部長名で6団体23事業所に対して、推進隊を委嘱した。21日、秋の交通安全運動開始と同時に新たな推進隊として移植を受けたのは、「アクサ損害保険会社」と「ハーレーダビッドソン・ジャパン」(HDJ)の2社だった。
両社は、アクサの「HARLEYモーターサイクル保険」を、HDJの正規ディーラー網を通じて販売する関係にある。アクサは10月1日からの新規保険加入者を対象に、無料で胸部プロテクターを配布することを決めた。アクサの動きに反応する損保会社の動きも出てきた。
「今後もバイクメーカーとの提携を通じて配布先を拡大する。事故を未然に防ぐ安全運転の啓発や事故時の被害を最小限に留めるヘルメット、プロテクターの着用推進を、企業の社会的責任の一環として今後も支援していく」と、同社の佃裕史副本部長はいう。
さらに、アクサにプロテクターを供給する用品メーカー「コミネ」(葛飾区)も、推進隊を委嘱されている。バイクショップの集まる「東京オートバイ組合」やバイク用品の製造や販売店が会員となる業界団体「全国二輪車用品連合会」も、推進隊のメンバーだ。
各企業や団体は、カタログに推進隊であることを表明して着用推進運動を広めたり、店頭などでプロテクターの安全性を訴える販売方法を模索して、少しでも着用者が増加するように心がけている。
「大きなバイクでプロテクターの存在を知らない人はいない。ただ、着用がめんどくさい、価格が高いなどの理由で、なかなか着用が進まない。我々としては原付バイク、原付2種バイクを含めたすべてのライダーに対して、ツーリングだけでなく買い物など短期間の利用で使ってもらいたいと思っている」(交通総務課・高齢者二輪車交通安全対策担当)
交通死亡事故減少の決め手が見つからないオートバイで、プロテクターはその切り札としての役割がますます期待されている。