【ダイハツ キャスト 試乗】個性強いスタイリッシュな「スタイル」、タイヤチョイスには疑問残る…青山尚暉

試乗記 国産車
ダイハツ キャスト スタイル
ダイハツ キャスト スタイル 全 21 枚 拡大写真

軽自動車はさまざまな車種があるようで実は、メーカー数が少ないこともあって売れ筋車種は限られている。

【画像全21枚】

つまり、同じ人気車種が街をゾロゾロ走り、すれ違う機会も多い。

そこでもっと個性的な軽自動車が欲しい! というユーザーが出てくるのは当然で 、そんな要望に応えたのがダイハツ『キャスト』だ。

『コペン』同様、1台の車種にいくつかのバリエーションを持たせる手法で、キャストの場合は基本モデルである「スタイル」、メイングレードと言えるSUV風 の「アクティバ」、そして少し遅れて発売される走りに特化した4座のコペン!?  と呼べそうな「スポーツ」が用意される。

基本部分は最新の『ムーヴ』。つまり軽量で高剛性なDモノコック、サスペンション などはムーヴから譲り受けたもの。さらにバックドア、Cピラー、フロントフェ ンダーを樹脂化したことでさらなる軽量化が計られ、加えて樹脂成形を利用して バックドア一体型のリヤスポイラーを、コストをかけずに全車標準化するなどのメリットがもたらされている。

ここではキャストの基本形と言えるスタイルのNAモデルに試乗した(ターボモデルもある)。アクティバとは顔つきやトリム類、内装、助手席前のポケッテリア、グリップサポート制御&ダウンヒルアシスト制御の有無(アクティバの 4WDのみ)などの違いのほか、車高、タイヤサイズも異なる。車高はSUVテイストのアクティバが30mm高く、最低地上高も30mm増している。タイヤはどちらもムーブで言えばカスタムRS同等の165の15インチながら、スタイルは全車55、アクティバは全車60サイズとなるのが、実は走って違いが分かるポイントのひとつだ。

2WDで30.0km/リットルの燃費性能を誇るスタイルのNAモデルだが、ダイハツ最新のエンジン、ムーヴから進化した最新制御のCVTによって、動力性能はきつい登坂を除けば必要十分。ダイハツのNAユニットはトルキーさが自慢でもあるのだ。ステアリングにはパワーモードも備わり、強めの加速力がほしいときにも対応してくれる(限界はあるが)。

キャストはデザインや走りの質感にこだわった1台だから、静粛性もなかなかのものだった。吸音、遮音材をふんだんに使うとともに、車内に騒音が侵入する経路=穴を徹底的にふさぐ努力のたまものだろう。

とにかく、街中をゆったり走っているシーンで聞こえてくるのはほぼわずかなロードノイズのみ。エンジン音が高まるのは約4500回転から上で、NAエンジンはターボと違い比較的高回転を使いがちとはいえ、日常的には騒々しさとは無縁のドライブが楽しめるはずだ。

特筆すべきはアクティバのターボモデルと変わらない出足の(一瞬の)軽やか感、スムーズさ、ボディーの剛性感の高さ、そして直進性の良さとカーブなどでのしっかりしたステアリングフィールによる安心感、タイヤの接地感とリヤタイヤの踏ん張り感の高さがもたらす曲がりやすさである。

運転視界はけっこう高めなのに、カーブでグラリとする不安な姿勢変化はほとんど感じられず、ビシリと安定したまま意のままに曲がれる…そんなイメージなのだ。

新制御を取り入れたCVTの変速も一段とリニア。ムーヴに見受けられた、アクセルオフ時にエンジン回転落ちが遅く、飛び出し感がある…なんていうクセも解消されていた。

ただし、乗り心地に関しては疑問が残る。サスペンションはスタイル、アクティバともに基本はいっしょ。しかしスタイルはキビキビした走り狙いなのかロープロファイルの55サイズがおごられ、アクティバは足回りを乗り心地方向にセッティングしやすい60サイズとなるのだ。

乗りくらべると、スタイルはゴツゴツ硬めで、段差、マンホール越えでのショック、揺すられ感が比較的強く感じられてしまうのが惜しい。

個人的にはスタイル、それもNAモデルのキャラクターを考えると、アクティバ同様の165/60R15または、14インチタイヤでもいいような気がした。タイヤ交換時の費用負担も少なくなるわけで…。

ちなみにキャストには最新のスマアシIIが用意され、というか、ほぼ全グレードにスマアシIIが装備されている。先進安全性能を確保した上で、デザイン、質感にプライオリティを置いたモデルというわけだ。

ボディカラーは、メーカーOPのデザインフィルムトップを含めると全12色/パターン。インテリアはベージュ系が基本だが、アクセントカラートリム、プライムインテリア(ホワイトのレザー調トリム/シート表皮)、ブラックインテリアパックまであるからキャストのコーディネイトは自由自在。自分好みの1台に 仕立て上げることができるのがキャストらしさ、肝である。

それ以上に興味深いのは価格。なんとスタイルとアクティバは同価格! 見栄え、立派さなら車高が高く、流行りのSUVテイストが特徴の、『ハスラー』を意識した 「アクティバ」だ。一方、メッキパーツを多用し、ホワイトインテリアも選べる内外装の質感やスタイリッシュさでは、『N ONE』をライバルに想定したと思える「スタイル」という ことになるだろうが、アクティバのほうが買い得感があるような気がしてならない。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★
ペットフレンドリー度:★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車専門誌の編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に寄稿。自作測定器による1車30項目以上におよぶパッケージデータは膨大。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がけ、犬との自動車生活を提案するドッグライフプロデューサーの活動も行なっている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

《青山尚暉》

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