安倍晋三首相が7日午後にも行う内閣改造を前に、閣僚の辞表が取りまとめられた。同13時に太田昭宏国土交通相は退任会見を開いた。2年9か月、通算1015日の就任期間を「災害や事故も多く緊張した毎日が続いた」と、振り返った。
太田氏は就任直後、職員を前に「安心安全の砦は国交省である」と挨拶。直後に東日本大震災の被災地を訪れた。
「現場が大事だと思ってきたから、まっ先に訪れたのが東北だった。なんとかしなければいけないという、それが強い印象」。
「防災・減災、老朽化対策」に注力した太田氏だったが、この秋も北関東・東北豪雨により鬼怒川が決壊。豪雨被害の復旧と対策に、今も国交省は取り組んでいる。自動車関連では、ディーゼル車の排ガス規制の見直しが、今まさに始まろうとするところだ。
「災害や事故も多かった。国民の命の安全。安全と安心が大事であって、そうした上にさまざな人間の営為があるということ。安全安心があって、勢いのある国づくりができる。生老病死にかかわるすべての前提が命であり、国土であると印象深く思っている」。
大臣就任前に、公明党の立場ですべての都道府県を「2けた以上」訪れていた。独自のネットワークを持ち、現場重視であり続けた。
「説教話をするとか、振り返って感想を述べる立場にない。ただ事故が多かったり、命にかかわる災害に関わってきたから、人の命を守ることが国土交通行政で最も大事だと思う」。
残す言葉は短く、その内容は揺らぐことはなかった。