【テスラ モデルS P85D 試乗】ロールスロイス以上に「ゴースト」な脅威の走り…諸星陽一

試乗記 輸入車
テスラ モデルS P85D
テスラ モデルS P85D 全 16 枚 拡大写真

プレミアムEVの名を欲しいままにしているテスラに、最強モデルとも言えるデュアルモーターの「P85D」が追加された。注目は「インセインモード」と呼ばれるパワー重視の走行モードだ。

【画像全16枚】

試乗は軽井沢をベースに行われた。長野県はEVに対する理解度が高く、充電器などの設備も充実している。ドライバーズシートに乗り込もうとクルマに近づくが、ドアノブがドアに収納されたままでドアが開けられない。しかしこれは簡単、ノブに触れば電動でノブが現れる。ノブが収納されるのは空気抵抗を減らすこと、スタイリングをよくすることに加えて、盗難しづらくすることも含まれている。

モデルSのボディサイズを車検証で確認すると全長が497cm、全幅が195cm、全高が144cm。2mに届く全幅は都内で乗るとちょっとつらいときもあるが、軽井沢で国道沿いのカフェからスタートするぶんにはさほど気にならない。

アクセルを軽く踏むと力強く、よどみない加速を味わえる。このP85D、車重は2.2t近くある。スポーツカーとしては異例の重さだが、動力源にバッテリーを使うEVのテスラは現代の技術では重量増からは逃れられない。しかし、この重量の原因となっているバッテリーは床下に配置されるので、普通のエンジン車よりもクルマ全体としての重心位置は低いところにあり、クルマ全体のバランスとしてはかなりいい。エンジンの重心を下げ、ミッションを工夫し…ということをせずとも、必然的に重心は下がる。

この低重心がもたらす乗り味は独特なもの。クルマの安定感がハンパないのだ。重心が低いとクルマが路面に張り付いたような動きになる。コーナリングはレールの上を走っているように正確、しかもそのレールの上に乗っているのではなく、レールにタイヤがガッチリと食い込んでいるような雰囲気だ。

P85Dは前後に独立したモーターを配置する4WD方式のため、このオンザレール感覚がより強い。コーナリング中に加速していっても、前後のグリップバランスは保たれたままで、グングン加速していく。

さて、注目してもらいたいのがインセインと呼ばれるモード。インセイン(INSANE)とは「正気でない」、「非常識な」といった意味をもつ言葉。けっしていい単語ではないが、こうした単語をクルマのモードに使ってしまうところがいかにも新興メーカーのテスラ。日本の既存の自動車メーカーがこんな名前を付けるようなことは絶対にないだろう。

インセインモードを選んで、停止状態からアクセルペダルを床まで踏み込んでみる。その加速感は異次元のものだった。資料によれば加速時のGは1Gを少しオーバー、0-100km/hを3.3秒で駆け抜けるということだが、その数値は紛れもなく本当だ。発進した瞬間、頭の中にある血液が一気に後方に持っていかれるため、一瞬だが意識が遠のく感覚に見舞われる。その際のノイズはほとんどない。音もなく驚異の加速をする姿は、ロールスロイスの『ゴースト』以上にゴーストな存在だ。

1369万円という高価なクルマだけに、★の評価はコストパフォーマンスを考えない絶対値とした。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活躍中。趣味は料理。

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

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