【東京モーターショー15】コミュニケーションロボ「KIROBO mini」が自動運転技術につながる可能性

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「KIROBO mini」の可能性について語る開発責任者の片山史憲氏
「KIROBO mini」の可能性について語る開発責任者の片山史憲氏 全 7 枚 拡大写真

連日大勢の来場者を集めた東京モーターショーが終了した。400台を超える新型車が出展された中、新たな技術も多数出展された。その中で特に女性や子供に大人気だったのがトヨタの『KIROBO mini』だ。将来のITSへの展開も睨んだコミュニケーションツールとしての可能性に迫った。

【画像全7枚】

KIROBO miniは、ロボット宇宙飛行士「KIROBO」と兄弟関係にあり、人間と会話をする中で様々な表情や仕草でコミュニケーションを図ることができるロボットだ。KIROBO miniは搭載モーターを4個に抑えたことで、動きには制限が出ているものの、首を振ったり頷いたり、さらには腕を振る動きも見せる。また、目に組み込まれたLEDライトは笑ったり怒ったりと多彩な表情を作り出すことができる。

カメラは目と目の間に一つ、マイクはその周囲に3つ備え、これらをセンサーとして活用。3つのマイクは音の方向を認識でき、そこからユーザーの表情を的確に追いかけられるのもポイントだ。大きさは座高が10cmほどで、重量は約200g。専用のポーチに入れて持ち運ぶことも可能で、運転中はクルマのドリンクホルダーにも入れておくこともできる。

「常にそばにおいてユーザーとのコミュニケーションをとりながら成長していくことを想定している」と話すのは開発責任者であるトヨタ自動車 製品企画本部 製品企画室 主査 片岡史憲氏。「長年愛用してきた愛車を手放す際は何となく寂しい気持ちになりますよね。一緒に行動を共にしながらそんな関係ができ上がっていく。KIROBO miniはユーザーの想いを共有できるロボットなんです」(片岡氏)

KIROBO miniは自発的に会話する機能を備えており、ユーザーと何気ない会話を交わす中で想い出などを共有することができる。たとえば「前にこんなことあったなぁ」とつぶやけば“そんなことあったね”との意味を込めて相づちだけで反応することもあるのだ。従来、コミュニケーションロボットの多くは会話に答えるパターンを採用していたが、KIROBO miniはそんな常識も覆したのだ。

これについて片岡氏は、「世の中にはベラベラしゃべるんではなくて、話を聞いてくれれば十分という人が大勢います。そのために相づちとかオウム返しなんかも必要になるでしょう。だから首が前や横に動けるようにしたのです」と語る。あくまでパートナーとしてユーザーの気持ちを汲んでくれるロボットを目指したということだろう。

この機能の背景にあるのは、スマートフォン(スマホ)を介してクラウドと結びついていることだ。これがユーザーとの自然なコミュニケーションを実現している。片岡氏によれば「特定の音声認識エンジンは想定しておらず、良いものがあれば採用する」とのことだが、スマホの音声認識システムと同様、クラウドにある高性能なエンジンがあって初めて成り立つ。その意味で、この音声認識システムは極めて重要な位置付けにあると考えていい。

見逃せないのはKIROBO miniとつながったスマホはセキュリティの役割も果たしていることだ。KIROBO miniとユーザーは“一対一”の関係にあるが、Bluetoothを介してつながるスマホがあって初めて認識する。仮にスマホがない状態でKIROBO miniがあったとしても、無難な動きしかしない。クラウド上にはKIROBO miniを介したユーザーの情報が蓄積されるが、これによりユーザーのプライバシーは守られるというわけだ。

では、トヨタはこのKIROBO miniを販売するのだろうか。この質問に片岡氏は「今のところ販売する予定はありません。ユーザーの反応を見ている状況です」との残念な回答。とはいえ、国内の自動車業界は今、需要の先細りという大きな課題に直面している。高齢化はドライバー減少につながり、若い世代はクルマそのものに関心が低いという現状がある。

片岡氏もその現状は認めつつ、「クルマが運転できなくなってもトヨタとのつながりを持っていて欲しい。クルマに関心がなくてもKIROBO miniからクルマで外へ出掛ける楽しさを知ってもらえればいい」とも語った。

折しも今回のモーターショーでは自動運転の実用化へ向けた活発な動きが見られた。ここで重要なのはクルマとドライバーとのインターフェイスで、かつて『ナイトライダー』というTV番組が放映されていたが、そこで活躍していたのはクルマに搭載された人工知能だった。これからはドライバーの心理も表情から読み取るというKIROBO miniで培った技術は自動運転というITS(Intelligent Transported System)の世界でも必ずや役立つことになるだろう。

《会田肇》

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