【新聞ウォッチ】初飛行に成功した国産ジェット機「MRJ」、期待と不安

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MRJ(三菱リージョナルジェット)初飛行のようす
MRJ(三菱リージョナルジェット)初飛行のようす 全 3 枚 拡大写真

気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。

2015年11月12日付

●MRJ初飛行、2030年にも後継機着手、三菱(読売・1面)

●国内企業航空機に商機、ホンダ小型ジェット開発、川崎重「777X」新工場(読売・11面)

●ミャンマー政権交代濃厚、総選挙、大統領「平穏に移譲」(朝日・1面)

●ガソリン3週連続値下がり(朝日・9面)

●VW以外も異常、独、排ガス試験中間発表(毎日・4面)

●「自転車道は一方通行」基本、ガイドライン提言案、路面標示色、大きさも統一(毎日・25面)

●ロボットの特許申請上位8社が日本企業(産経・10面)

●LIXILグループ、ホンダと協力の住宅公開(日経・15面)

●本社内に新デザイン棟、ヤマハ発動機(日経・15面)

ひとくちコメント

開発中の国産初のリージョナルジェット機「MRJ」の試験機が初飛行に成功した。国産旅客機の飛行は1962年の「YS11」以来、約半世紀ぶりのことだが、2017年春の全日空への初号機納入に向けて一つの関門を超えたものの、コストや安全面、機体の補修サービスの構築など課題も多いようだ。

MRJは「三菱リージョナルジェット」の略称で、三菱重工業の子会社の三菱航空機が開発を進めている座席数70~90の小型ジェット機。初飛行を無事終えた11月11日の夕刊は、各紙がすべて1面トップで「国産ジェットMRJ初飛行、半世紀ぶり日の丸飛行機」(読売)などと、大きく報じた。

きょうも夕刊のない産経が1面トップで報じたのをはじめ、他紙も1面、経済面、社会面などでも取り上げている。毎日、産経、東京はきょうの社説のテーマにしている。毎日は「航空機産業育成の一歩に」、産経は「国産技術の未来切り開け」。

東京は「新産業へ確かな離陸に」とのタイトルで「飛行機産業を日本に根付かせる道のりは長いが、この一歩を確かな前身としてほしい」と伝えている。

また、読売は「2030年にも後継機着手」と気の早い記事を1面に掲載。「30年代に次世代機、40~50年代には次々世代機の開発に乗り出す」とも報じているほか、経済面には「国内企業航空機に商機」との見出しで、ホンダジェットの話題やトヨタ紡織が航空機用座席の納入を始めたなど、「息の長いビジネスになり得る」とも。

ただ、10年、20年の先に続く航空機産業の基盤が築けるかどうかの課題も多い。欧米の下請けに甘んじてきた日本の航空産業が、世界市場に再び挑むが、朝日は「自動車産業などに続く、ものづくりの柱の一つになるか。細身のMRJに重い期待がかかる」と指摘。

日経は「大きな山場を越えたが、次は日本経済をけん引するビジネスとして離陸できるかが焦点となる」としている。毎日は1面で「MRJ膨らむ夢」としたが、3面は「MRJ不安と期待」との見出しで「重大な不具合が生じて計画に遅れが出れば、利用者や取引先の信頼を損なう恐れもあるなど、関係者の不安は尽きない」と警鐘を鳴らす。

東芝の不正会計処理問題をはじめ、欠陥エアバッグのタカタや旭化成建材のくいデータ偽装など、このところ日本企業の不祥事が紙面を埋め尽していたが、「MRJ初飛行」は久々の明るいニュースが1面トップとなった。

《福田俊之》

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