日立オートモティブ、高速道路上での「自動運転レベル2」実用化に目途

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本線上に入ると先行車や車線などを認識して自動運転モードに入った
本線上に入ると先行車や車線などを認識して自動運転モードに入った 全 12 枚 拡大写真

日立オートモティブシステムズは11月中旬、同社の十勝テストコース(帯広市)において、日立グループが取り組む「Smart ADAS」技術を報道関係者に公開。その中でこの日のハイライトとなったのは2020年以降に実現する高速道路上での自動運転を想定した走行デモだ。

デモのために用意されたのは、スバル『インプレッサ』をベースとした試作車。フロントウィンドウにはステレオカメラを装着して前方を監視し、前後のバンパーには24GHz帯のミリ波レーダーを4個装着。さらにアラウンドビューのように前後左右に4個の単眼カメラが備えた。また、5.9GHz帯周波数に対応した車車間通信から工事車両の検出も行い、これらを組み合わせることで車両の周囲360度を監視する。また、デモカーには独自に作成した、テストコース内の高精度な地図がセットアップされた。

この試作車を前にして明らかにされたのは、自動運転のレベル2に必要な機能を量産レベルに近い状態まで引き上げられていたことだ。試作車はレーダーと車載カメラを組み合わせたセンサーフュージョンに基づく車両制御が行われており、そのシステムはセンサーやアクチュエーターに加え、車内ネットワーク、HMIなどを含めたほとんどが日立グループで開発したものを採用しているのだという。同社によれば「ほぼ量産レベルに近いプロトタイプ」にまで仕上がっているとのことだ。

いよいよデモ走行に入る。先行車に対してACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)で追従走行することからスタートし、標識の制限速度に合わせて速度を自動的に加減速。続いて、工事車両がいることを車車間通信によって検知して注意喚起を実行した。側道から本線に入る際はウインカーを操作することで合流作業に入ることになるが、この時、本線上を走行してくる車両は後方用カメラやレーダーによって検知されており、これによって合流のタイミングを図ることになっているという。

本線上に入ると先行車がいる場合はそれに追従し、先行車がいない時は車線を認識。制限速度は50km/hを超えると自動運転モードに入り、この時、ドライバーは完全に手をハンドルから離した状態。それでもカーブがあるとハンドルはゆっくりとそれに追従し、見た目にも完全な自動運転状態であることが確認できた。試作車は常に周囲を360度にわたってセンシングするようにシステム化されており、真横に並走者がいる時でも側方のカメラがそれを認識して車線変更の動きを止める状況も確認できた。

実験路内での管理された状態とは言え、走行中はスムーズな動きが印象的だった。トランク内に備えられたシステムの撮影は禁じられたが、開発担当者によれば「他社はトランクいっぱいに機材が積まれているが、弊社のシステムは省スペース化が相当進んでいる」と話す。

日立オートモティブシステムズとしてもレベル2の自動運転システムを既に自動車メーカーへ提案しているとのこと。同社常務取締役CTOの川端 敦氏は「採用自体は2017~18年頃には採用されるよう働きかけている」と語った。

《会田肇》

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