【タイ国際モーターエキスポ15】バックオーダー抱える パジェロスポーツ、エコカーシフトに ミラージュ を…三菱

自動車 ニューモデル モーターショー
三菱 ミラージュ(タイ国際モーターエキスポ15)
三菱 ミラージュ(タイ国際モーターエキスポ15) 全 16 枚 拡大写真

数年の間に、最多年間販売の達成と半減を経験し揺れるタイ自動車市場。ピックアップトラックの根強い人気と、エコカー施策などにより徐々に回復基調にあるというが、実際はどうなのか。ピックアップトラック『トライトン』を武器に、タイを主戦場のひとつと据える三菱自動車。タイ法人であるミツビシ・モーターズ・タイランドで販売を取りまとめる中原耕治副社長に話を聞いた。

タイで売れている三菱車のトップはピックアップトラックのトライトンで月販2000台弱、続いて新型を発表したばかりの『パジェロスポーツ』が1000台程度、コンパクトセダンの『アトラージュ』が750台程度、『ミラージュ』が400台程度となっているとのこと。このうちパジェロスポーツは8月に発表、デリバリーは10月からなので今後台数が増えていくことは間違いない。事実、パジェロスポーツは現在、生産が間に合っていないような状況だという。

とはいえ、パジェロスポーツの現車が無い状態での販売には苦労したという。現行型パジェロスポーツには衝突回避ブレーキや誤発進防止装置が装備されたが、それを説明するためのビデオなどを制作し、アピールをしていった結果、多くの予約を獲得することができたという。こうした衝突回避ブレーキは日本車としては初採用で、あこがれの装備が装着されたピックアップがついに登場した、という印象を与えることができたのだろう。

この結果からもわかるとおり、タイではSUV系の人気が非常に高い。ただ、日本人の思うSUVのイメージとはちょっと異なる部分もある。タイではピックアップトラックの人気が相変わらず高く、フレーム付きのクルマに大きな信頼を寄せている。タイの人々はタフさを持つモデルということで、ピックアップトラックをベースとしたSUVをとくにPPV(ピックアップ・パッセンジャー・ビークル)と呼ぶ。日本でクロカン4WDと呼ばれるようなタフなモデルがPPVというわけだ。

2013年から2015年までの3年間の全体の販売傾向を見ても、SUVシェアは3%から5%、7%と右肩上がり。PPVも5%、5%、10%と好調だ。とくにPPVは各メーカーで新型車の投入が続いていることもあり、こうした傾向に拍車をかけている。パジェロスポーツは8速のATを採用したことで、これが「ヨーロッパ的」だとして好評を得ているという。タイの人々にとって、ヨーロッパ車はあこがれの的で、ヨーロッパ的な装備やデザインは非常に受けが良いのだという。

とはいえ、都市部では徐々にエコカー(タイでいうエコカーとはコンパクトカーのなかで20km/リットル以上の燃費など一定の要件を満たしたもの)などに需要がシフトしつつある傾向も見られるという。ピックアップトラックのシングル&クラブキャブの市場シェアは2000年には43%であったが、2015年には31%強にまで下がったという。こうした背景もあり、三菱は今回「タイ国際モーターエキスポ」でミラージュのマイナーチェンジモデルを発表。魅力を向上させ、タイ市場、とくに都市部での需要に応えていくというわけだ。

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 「ミニGSX-R」をスズキがサプライズ発表!? 鈴鹿8耐マシン以上に「サステナブルかもしれない」理由とは
  2. 車検NGの落とし穴!? シート交換で絶対に知っておくべき新ルール~カスタムHOW TO~
  3. “プチカスタム”でサマードライブの楽しさをブーストアップ![特選カーアクセサリー名鑑]
  4. メルセデスベンツ車だけに特化!走りを静かにする「調音施工」認定店が埼玉県三郷市にオープン
  5. 次期BMW『X5』の車内を激写! メーターパネル廃止、全く新しいパノラミックiDriveディスプレイを搭載
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  3. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. ブレンボが新ブレーキ開発、粒子状物質を削減…寿命も最大2倍に
ランキングをもっと見る