まるでサルトサーキット、マツダ試験場で雪上試乗…「マツダらしい」4WDの神髄を見た

自動車 ビジネス 企業動向
マツダ 剣淵試験場 雪上試乗会
マツダ 剣淵試験場 雪上試乗会 全 10 枚 拡大写真

2015年12月、マツダは北海道上川郡剣淵町(けんぶちちょう)にある同社のテストコースで4WDモデルの試乗会を開催した。

このテストコースはマツダが所有するパーマネントコースと、剣淵町が所有する町道を冬季のみ閉鎖して借用し、それを組み合わせている。まるでブガッティサーキットと公道を組み合わせて使うサルト・サーキット(ル・マン24時間レースが行われるコース)みたいではないか? と筆者は勝手に思ってしまった。

テストコースで行われた試乗体験はいくつかのパートに分かれて行われた。筆者は最初に『アテンザ』に乗って高速登坂路や山岳路、ワインディングといった道を見せてもらった。高速登坂路は冬季以外は一般車も走行する林道として使われている道。マツダではよりリアルワールドでの性能や使いやすさをチェックしているとのことだった。

次に案内されたのは急急登坂路と言われるコース。ここは登り勾配のきついコースで、『CX-5』の2WDと4WDの比較試乗を行った。スタート地点は比較的勾配が緩いので、2WDでも比較的すんなりと発進できたが、途中の勾配がきつい場面でクルマを停止して再発進した際にはまるで結果が異なった。2WDは発進不可能な状況でも4WDは難なくスタートする。それも何もなかったかのようにスムーズなスタートだ。マツダの4WDはタイヤのスリップを読み取り、前後に配分するトルクを決めるのに1秒間に200回もの演算を行っている。そうした細かい制御が発進を楽にしているのだろう。

発進系の試乗の次に体験したのが、『アクセラ』を使ってのスラローム試乗。つまりコーナリング体験だが、こちらもやはり4WDのよさを十分に体感した。これは当たり前のことだが、ステアリングを切った状態でも4WDモデルのほうが安定してねらった目標に向かっていける。本来、この試乗はGボールと呼ばれる装置(お皿の上にピンポン球を置いたようなもの)が備えられていて、あまりGをかけないように乗るのだが、ついついアクセルを踏み込み、スピードもGも高めとなってしまった。

スラローム試乗のあとは周回路と呼ばれるワインディングを走る。ここではあえてATをスポーツモードにする体験をした。スノーモードでアクセルに対する反応を鈍くするのが通常のATコントロールだが、あえてスポーツにすることで、クルマのコントロール性を上げるという思想。いかにもマツダらしい考え方で「これはアリ!」と感じた。

最後に用意されたのがリアルワールドで生かされるパッケージングの体験。北海道では雪靴のような靴のままクルマを運転する人が多い。本来はクルマを運転するときには靴を履き替えるべきなのだが、なかなかそうも行かないのが北国の事情のようだ。ステアリングをドライバーの正面に配置、ペダル類も自然な位置に配置されるマツダ車は、雪靴のように幅が広くソールが曲がらないタイプの靴でも、アクセルペダルを踏んだときに靴が内張に引っかかることなく、なおかつブレーキも操作しやすい。比較車として用意された某車では、アクセル操作時にどうしてもフェンダーの内張に靴が引っかかってしまった。

マツダはこの進化した4WDのことを「i-ACTIV AWD」の名前で呼んでいる。「i-ACTIV AWD」は2WDとの燃費の差が少ないのも大きな特徴で、いずれは効率よくトルク配分を行うことで2WDを凌ぐ燃費を実現することを目標としている。

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. トヨタ『ランドクルーザー300』初のハイブリッド登場!実現した「新時代のオフロード性能」とは
  2. ようやくですか! 新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』日本仕様初公開へ…土曜ニュースランキング
  3. セリカに次ぐ「リフトバック」採用のカローラは、50年経ってもスタイリッシュ【懐かしのカーカタログ】
  4. 【マツダ CX-60 XD SP 新型試乗】やっぱり素のディーゼルが一番…中村孝仁
  5. 「内装は100点満点」フランス生まれの新型プレミアムハッチ『DS N°4』にSNS注目!「いい、凄くいい」の声
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  2. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  3. BYD、認定中古車にも「10年30万km」バッテリーSoH保証適用
  4. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
  5. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
ランキングをもっと見る