【メルセデスベンツ Vクラス ロング 試乗】日本のミニバンを凌ぐ圧倒的な存在感…諸星陽一

試乗記 輸入車
メルセデスベンツ V220d ロング
メルセデスベンツ V220d ロング 全 12 枚 拡大写真

メルセデスベンツのミニバンである『Vクラス』が2015年10月にフルモデルチェンジ。クリーンディーゼルエンジンを搭載し、装備を充実した。

日本のミニバンが乗用車系のプラットフォームを用いるのに対し、このVクラスをはじめヨーロッパ系のミニバンは商用プラットフォームをベースとすることが多い。そのため乗り心地などにどうしても限界があったが、今回の新型はそうしたことを上手に克服している。サスペションはフロントがストラット、リヤがセミトレと先代と形式は同じだが新設計のもの。

ドライバーズシートに座って運転していると、ドッシリとした安定感のあるハンドリングが気持ちいい。ビシッと直進安定性があり、長距離を走ってやろうという感じになってくる。じつはこのクルマに試乗する際は先輩のジャーナリストと一緒に行い、2列目と3列目の試乗もできた。乗り心地がよかったのは2列目だが、3列目もなかなかで長距離ドライブでも十分楽しめるレベルを持っている。

220dの車名からもわかるように搭載されるエンジンはディーゼル。排気量は2.1リットルで最高馬力は163馬力を発生する。この数値だけを見ると2.5トン弱のボディに対しては非力に感じるかもしれないが、38.7kgmという最大トルクを1400回転で発生、そのまま2400回転まで維持する大トルク、低回転型の特性に7速のATを組み合わせるので、非力さは感じることなく発進、中間加速、巡航を見事にこなしてくれる。

「アバンギャルド・ロング」と「アバンギャルド・エクストラロング」にはICC(In Car Communication)と呼ばれる機構が採用されている。これは運転席と後席の会話を明瞭化する技術で、それぞれの席にマイクとスピーカーを設置し、音声を増幅してスピーカーから流すというものだが、その際にノイズ成分を除去することでより明瞭に会話が可能になるというもの。実際にオン-オフして会話をしてみたが、走行音などが大きい際はオンのほうが会話明瞭度が高かった。

日本のミニバンはシートの高級さやアレンジの自由度などを競っているが、Vクラスはそうしたことよりも移動するための快適性をもっとも重要視している。この部分の思想の違いが、Vクラスが一歩先に行っているように見える原因だろう。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★

諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

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