【SUPER GT】「知恵を振り絞ったクルマで勝利を」新型 プリウスGT 開発への思い

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東京オートサロン2016で発表された新型プリウスGT
東京オートサロン2016で発表された新型プリウスGT 全 12 枚 拡大写真

「東京オートサロン2016」でアンヴェールされた今季SUPER GTに参戦する新型『プリウスGT』。aprの監督でありマシンの設計・製作に携わった金曽裕人氏が、このマシンにかける想いを語った。

【画像全12枚】

SUPER GTでは初めてハイブリッドシステムを搭載したプリウスGTを製作し、2012年から参戦。2年目となる2013年の第2戦に初優勝を飾った。昨年は開幕戦岡山と最終戦もてぎで圧倒的な強さをみせ優勝。しかし、チャンピオン争いでは一歩及ばずランキング3位に終わった。

今年はベースとなるトヨタ『プリウス』がZVW50型にフルモデルチェンジされたのに合わせてGTカーの方もモデルチェンジ。ただ基本的にはこれまでのモデルの正常進化系だと金曽監督は語る。

「基本は今までのモデルの正常進化させたものです。構想というか思想は守ったまま、精度を上げたり、強度アップや加工業者も変えてみたりとか、正常進化だけど新しいチャレンジをしています」

「マシン製作などの実働は昨年の9月からスタート。構想は5月ぐらいからありました。当初はFR化の話もありましたが、供給できるエンジンが限られていたり、ハイブリッドシステムを導入する点のことも踏まえて、今まで通りMRになりました。昨年までのクルマをきっちり正常進化させたものになっています」

今年はメルセデス、BMW、アウディ、ランボルギーニ、ポルシェなど計7車種もの新しいFIA-GT3マシンがGT300クラスにも投入される予定。昨年にも増して大激戦のレースになることが予想されている。その中で金曽監督は、ライバル勢は相当なパフォーマンスアップをしていると考えており、現状の状態では今季苦戦する可能性もあると語った。

「昨年プリウスが速いというイメージをみなさんも持っていらっしゃったかと思いますが、昨年出ていたFIA-GT3マシンはフルモデルチェンジ前で末期のような車両たちと戦っていたから、熟成したプリウスの速さが際立ったと思っています」

「ただGT3勢もレーシングカーを販売していく上では、1秒早くなった!最高速度が上がった!というトピックスがないとクルマは売れません。だから今年入ってくる車両たちも相当進化していると思います。我々も昨年と同じパフォーマンスじゃいけないと思っていますし、新型だからと言ってアドバンテージとか優位性は全然感じていません。苦戦もあり得るかもしれません」

現在、SUPER GTだけでなく世界中の各レースカテゴリーで普及しているFIA-GT3マシン。おそらく今年のGT300クラスも、大半のチームがこの規格の車両を使うことになる。マシンの製造開発、メンテナンス等の知識がなくても完成されたレーシングカーを購入して、すぐにレース参戦できるというのがメリットではあるが、その一方で日本独自の「モノづくり文化」で生まれてきたレーシングカーが激減している。だからこそ、金曽監督は純国産で開発したプリウスGTにこだわって参戦し、勝利したいと強く思っているという。

「このプリウスGTは国産部品でほとんどが成立していて、設計から部品加工まで国内業者がやって「オールジャパン」のような体制で製作されているマシン。まさにハンドメイドのレーシングカーです。この純国産マシンで、クルマ文化、レース文化の長い海外メーカーのGT3マシン相手にどこまで戦えるか?これが今年の僕たちの最大の挑戦です」

「最近のSUPER GTもGT3マシンを手に入れようとしているチームが増えてきていて、逆に僕たちのようなハンドメイドでマシンを開発して参戦するチームが減っているのが現状。昨年末でホンダさんのCR-Z GTも引退して、JAF-GT規格のマシンが本当に少なくなってしまいました。今ではお金を出して速いクルマを手に入れ、モータースポーツに参戦することに意義があるような状態になってしまっていて、そこにあったはずのモノづくりや産業への考えが失われつつあります。それは決してよくないことです。これまで日本のレースを支えてきた諸先輩方の『モノづくり』『日本の産業』の歴史を僕たちが切っちゃいけないと思っています」

お金を出して速いクルマ(GT3マシン)を手に入れるのが可能になった昨今のGTレース業界。その中で金曽監督は昔ながらの「自分たちの知恵を振り絞って勝利を掴みとれ」という考えのもとで生み出された新型プリウスGT。最初は「ハイブリッドカーがレーシングカーになった」という話題ばかり進行していたが、そこには日本のレーシングカーコンストラクターとしてのプライドとレースに対する思いが詰まっていた。

注目のSUPER GT2016シーズンは4月9・10日に岡山国際サーキットで開幕予定だ。

《吉田 知弘》

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