【日産 リーフ 試乗】ライバル多い今だからこそ「もっとやっちゃえ」…青山尚暉

試乗記 国産車
日産 リーフ
日産 リーフ 全 8 枚 拡大写真

2010年の発売以来、全世界の販売台数が約20万台となった、EV販売台数世界一を誇るのが日産『リーフ』。

2015年末までに充電インフラは全国で1万5000基を越え(急速充電器6000、普通充電器9000)、EV最大の課題であるロングドライブにおける充電環境は徐々に改善、充実しつつある。とはいえ、1充電航続可能距離はEV購入者にとってもっとも気になるところ。

そのあたりは日産も分かっていて、15年11月のマイナーチェンジで従来の24kWhバッテリー搭載モデルに加え、従来のバッテリーパックサイズを維持しつつ、急速充電では24kWhバッテリーと変わらない充電時間(約30分で80%までの充電)、JC08モードで280kmの航続距離(24kWhバッテリーモデルは228km)を実現した大容量30kWhの駆動用リチウムイオンバッテリー搭載モデルを追加したばかり。つまり約20%、EV走行距離が伸びたことになる。

久しぶりに乗ったリーフはこれまでの重量物のバッテリーを床下に置くことで得られる低重心パッケージがもたらす安定感の高さや曲りやすさ、乗り心地の良さはそのままに「より安心できるEV航続距離」を手に入れたわけだ。

走り出せばモーター動力ならではの無音で軽やかにスッと加速するEVらしさにガソリン車ユーザーは感動するはず…なのだが、デビュー5年を経て数多くのライバルが出現した今、メーターやシフター回りの先進性、デザインは驚くに値しなくなったのも事実で、EVらしい強力なモータートルク感は航続距離優先思想なのか、あえて電費を気にしたマイルド方向に躾けられているため、ライバルと比較すればEV感覚はやや薄め。荒れた路面で車体が細かく上下動したり、パワーステアリングの戻し方向に違和感があるところも改めて感じた点である。

マイナーチェンジを機にナビに走行周辺の充電スポットを自動更新する新機能を追加したのは大歓迎だが、テスラのようなアップデート機能を持たせるなど、既存ユーザーの満足度を高めるさらなる進化を期待したいところ。もっともっと“やっちゃえリーフ”である。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車専門誌の編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に寄稿。自作測定器による1車30項目以上におよぶパッケージデータは膨大。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がけ、犬との自動車生活を提案するドッグライフプロデューサーの活動も行っている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

《青山尚暉》

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