【日産 スカイライン 試乗】世界初のダイレクトアダブティブステアリングに驚く…片岡英明

試乗記 国産車
日産 スカイライン
日産 スカイライン 全 8 枚 拡大写真

久しぶりにステアリングを握った日産『スカイライン』は、スポーティな味わいのハンドリングが際立つ、大人の高性能セダンだった。

試乗したのは、フラッグシップのハイブリッド車だ。パワートレーンは、3.5リットルのV型6気筒DOHCエンジンに、モーターの組み合わせである。ハイブリッドシステムは、独自設計の1モーター2クラッチ方式とした。

高効率なハイブリッドシステムを採用したスカイラインは驚くほどパワフルだ。アクセルを踏み込むと、スッと前に出た後、モーターのアシストによって痛快な加速を見せつける。ハイブリッド車の中でもパンチ力とスピードのノリは世界トップクラスだ。ターボより滑らかに、俊敏な加速を引き出すことができる。7速ATは滑らかさも群を抜く。また、静粛性も高い。クルージング時はとても静かだった。だが、加速していくときは快音を放ち、気持ちいい。スカイラインがスポーツ心を失っていないことが分かり、嬉しくなる。

モーターで走れる領域が広いのも魅力のひとつだ。アクセルを緩めるとエンジンが停止してモーター走行に変わる。最新モデルは、モーター走行とエンジン始動のオン/オフの切り換えタイミングの制御が巧みになり、一段と上質なパワーフィールを手に入れた。

ハイブリッドシステムとともに高く評価したいのがハンドリングである。最大の注目メカニズムは、世界初のダイレクトアダブティブステアリング(DAS)だ。これはステアリングの動きを電気信号に置き換えてタイヤを操舵する画期的なものである。ダイレクトでシャープなハンドリングに最初は戸惑う。ギア式のステアリングと操舵したときのフィーリングが大きく違うからである。とくにスポーツモードを選ぶと、ちょっとステアリングを切っただけでダイレクトかつシャープな動きを見せ、過敏すぎるかな、と感じた。

DASは無類にシャープで、ステアリング操作に対する応答性は驚くほど正確だ。スポーツカーを操っているかのように、安定した姿勢を保ちながらコーナーを気持ちよく駆け抜けていく。キックバックも伝わってこないから、目地や段差などの乗り越えも気にならない。また、取り回し性にも優れている。

その反面、今までの感覚と違うので慣れるまでは多少の違和感があるのだ。DASの特性に慣れてくると、最小の操舵で狙ったラインに難なく乗せることができた。ノーマルモードを選んでもタイトコーナーで機敏な動きで、身のこなしは軽やか。気持ちよくクルマの向きが変わる。スポーティ度は驚くほど高いが、限界領域が分かりづらい。もう少し手応え感と路面からのインフォメーションが増えると、さらに魅力を増すだろう。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

片岡英明│モータージャーナリスト
自動車専門誌の編集者を経てフリーのモータージャーナリストに。新車からクラシックカーまで、年代、ジャンルを問わず幅広く執筆を手掛け、EVや燃料電池自動車など、次世代の乗り物に関する造詣も深い。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員

《片岡英明》

片岡英明

片岡英明│モータージャーナリスト 自動車専門誌の編集者を経てフリーのモータージャーナリストに。新車からクラシックカーまで、年代、ジャンルを問わず幅広く執筆を手掛け、EVや燃料電池自動車など、次世代の乗り物に関する造詣も深い。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

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