【日産 エクストレイル ハイブリッド 雪上試乗】雪道ビギナーにも扱いやすい、トルク制御の魅力…片岡英明

試乗記 国産車
日産 エクストレイル ハイブリッド
日産 エクストレイル ハイブリッド 全 8 枚 拡大写真
オフロードや雪道を苦にしないタフな道具感をセールスポイントに、世界中で高い人気を誇っているのが日産『エクストレイル』だ。自慢の4WD技術とハイブリッド車の実力を知るため、厳冬の蓼科高原でチェックしてみた。

4WDシステムは、先代から採用しているオールモード4×4iを採用する。現行モデルでは路面状況を検知してボディの上下動や振動を抑えるアクティブライドコントロールや自然なエンジンブレーキ感覚を生むアクティブエンジンブレーキなどの新機構も採用した。

走行モードは3種類あるが、まず「AUTO」モードで走ってみる。これは前後輪の駆動トルクを自動的に、100対0から50対50まで可変して配分するものだ。スリッピーな路面では、後輪への駆動トルクの伝達レスポンスは驚くほど速く、安心感があった。雪と氷の混じった勾配のきつい上り坂の途中にクルマを止め、発進を試みる。前輪がガリッと雪の路面をかいだかと思うと、間髪を入れず4輪ががっちりと路面に食いつき、難なく上り始めた。

無駄にタイヤを空転させない鋭い応答レスポンスは、低ミューの圧雪路では走りやすさと優れたコントロール性を生み出している。路面をがっちりととらえ、安定した姿勢を保ちながら、スムースな発進を披露した。そこからの加速もふらつきがなく、安定感がある。ハイブリッド車だが、ライバルよりクルマが軽いから、軽快感のある走りを見せつけた。

コーナリングは基本的に弱アンダーステアの味付けだ。圧雪路のコントロール性は素晴らしい。アウト側に膨らんでしまったときでも、少しアクセルを戻すだけで無理なく狙ったラインに戻すことができる。グリップしてほしい場面では強力にトラクションがかかるトルク配分をコンピュータが選んでくれるから、雪道ビギナーにも扱いやすいはずだ。雪の下にアイスバーンが隠れている路面や左右でミューの違う路面でも安定した走りを披露した。路面のミューが異なり、グリップ力が一定にならないところでも挙動は安定している。もし滑ったときでもリカバリーはたやすかった。

乗り心地も良好だ。夏にハイブリッド車に乗ったときは、ちょっと乗り心地が硬質に感じられた。が、ミシュラン製のスタッドレスタイヤを履いた試乗車は突っ張り感が気にならなくなっている。荒れた雪道でも快適だ。ブレーキは、ちょっと踏んだだけで利きがいい。ただし、滑りやすい雪道では逆に気を遣った。もう少し緻密にコントロールできるようになれば、さらに安心感と操作しやすさが増すだろう。

最後に、2.0リットルの直列4気筒直噴DOHCエンジンにモーター、そして2つのクラッチを組み合わせたハイブリッドシステムの印象について述べてみよう。2.0リットルエンジンは、モーターの後押しによって低回転から豊かなトルクを発生する。発進時に発生しやすいギクシャク感も上手に抑えられていた。瞬発力が鋭く、気持ちよくスピードを乗せていく。モーターが小さいため、稼働領域は加速時などに限定されているし、強く踏み込むと解除されるが、高い静粛性と燃費向上は大きな魅力だ。また、ハイブリッド車なのにリーズナブルな価格設定もエクストレイルのチャームポイントにあげられる。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★


片岡英明│モータージャーナリスト
自動車専門誌の編集者を経てフリーのモータージャーナリストに。新車からクラシックカーまで、年代、ジャンルを問わず幅広く執筆を手掛け、EVや燃料電池自動車など、次世代の乗り物に関する造詣も深い。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員

《片岡英明》

片岡英明

片岡英明│モータージャーナリスト 自動車専門誌の編集者を経てフリーのモータージャーナリストに。新車からクラシックカーまで、年代、ジャンルを問わず幅広く執筆を手掛け、EVや燃料電池自動車など、次世代の乗り物に関する造詣も深い。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

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