【トヨタ プリウス 試乗】雪国ユーザー待望の「E-four」、実用性に違いも…青山尚暉

試乗記 国産車
トヨタ プリウス A
トヨタ プリウス A"ツーリングセレクション" E-four 全 13 枚 拡大写真

新型プリウスの大きなハイライトのひとつが、『プリウス』初の「E-Four」、つまり『エスティマハイブリッド』などでもおなじみの電気式4WDシステムが、よりコンパクト化され 用意されたこと。

もちろん、“生活ヨンク”でハードな4WD性能は持ち合わせていないが、雪国のユーザー待望の1台になるはずだ。

前後の駆動力配分は、発進時は基本的に4WDだが、マルチインフォメーションディスプレーの駆動力の状態を示す表示を見れば、リヤ駆動はほんの一瞬ということが分かる。定常走行では基本的に前後10:0のFF。雪道などでタイヤのスリップを検知すると前後最大4:6の駆動力配分になる。

試乗したのは「A"ツーリングセレクション"」だったが、17インチタイヤを履く乗り心地はFFより70kgの重量増によって、ややマイルドになった印象だ。

燃費性能はJC08モードだとFFの37.2km/リットルに対して34.0km/リットル。ここで「へーっ、やっぱり悪くなるんだ」と悲観しないように。先代最高が32.6km/リットルだったことを忘れてはいけない。

横浜みなとみらい周辺を、駆動力の状態表示を見つつ走行しても4WD状態になったのは発進時のみで、実燃費は20km/リットル中半を維持。都会人が選ぶ必要はないだろうが、雪国の人は新型プリウスの驚異的な燃費性能と安心を同時に手に入れることができるはずである。

実は、実用性において4WDならではのメリットがある。それはラゲッジ。先代は開口部からフラットフロアで、後席格納時もフロアに段差なし。しかし新型は低全高化に対処しラゲッジフロアを落とし込んだ結果、日本仕様のFFの場合、開口部に100mm、後席格納時の境目に80mmの段差ができてしまった。

しかし4WDはラゲッジフロアが高まることで、開口部で45mm、後席格納時の境目で30mm、つまりほとんど段差のないフロアになっているのだ。重い荷物の引っ張りだし、長尺物の積み込み時には4WDのほうがずっと使いやすいのである。ペットをリヤドアから乗せ、後席の片側を倒してラゲッジに歩いて行かせる…といったシーンでも有利である。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
ペットフレンドリー度:★★★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車専門誌の編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に寄稿。自作測定器による1車30項目以上におよぶパッケージデータは膨大。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がけ、犬との自動車生活を提案するドッグライフプロデューサーの活動も行っている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

《青山尚暉》

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