【スズキ イグニス 試乗】欧州コンパクトに切り込む侍魂…諸星陽一

試乗記 国産車
スズキ イグニス
スズキ イグニス 全 9 枚 拡大写真

東京モーターショー15に出品され注目を浴び、2016年に市販されたばかりのスズキ『イグニス』に試乗した。

イグニスは『ソリオ』のプラットフォームを利用して作られたコンパクトなSUV。ボディサイズは全長は3700mmと短いながらも、ホイールベースは2435mmと長い。全高は1595mmで1600mm以下の立体駐車場に対応。全幅は1660mmで5ナンバーサイズギリギリまで広げていない。さらに、ベルトラインから上(サイドウインドウより上)は、グッと絞られている。ここがポイントだ。クルマがコンパクトだから少しでもスペース効率を上げようとして四角くなってしまったクルマとは違い、スポーティに仕上げようという気概を感じられる。

乗ってみるとそのシャシーまわりのしっかりさと熟成度の高さにびっくりさせられる。基本的な乗り味は「硬い」。ボディがしっかりしていて、サスペションがグッと踏ん張るタイプのセッティングだ。タイヤがつねに路面を追従している感覚にあふれている。にも関わらず、乗り心地はけっして悪くないのだ。国産のコンパクトカーが苦手としてきた味付けと乗り心地を見事に両立。「フレンチコンパクトが…」とか「ラテンの血が…」とか言うヤツに乗せてやりたい「侍の魂」を感じた。どうだまいったか! である。

パワーユニットは91馬力の1.2リットル・デュアルジェットエンジンに、3.1馬力のモーターを使用するマイルドハイブリッドを組み合わせたもの。ミッションは副変速機付きのCVTで、これもソリオと同様。しかし走りはソリオよりもキビキビして気持ちいい。ひとつはしっかりしたシャシー、ひとつはソリオよりも100kgも軽い車重が軽快な走りを生んでいると言える。アイドリングストップからの復帰するときの再始動も非常に静か。これはセルモーターで再始動するのではなくISGと呼ばれる再始動モーター機能を備えたオルタネーターだからこそできるワザ。アイドリングストップ→再始動のたびに車内に安っぽい音が響かなくていいのは大歓迎である。

2WDなら138万2400円~という価格設定も大きな魅力。絶対に装着すべき安全装備のセーフティパッケージ(カーテンエアバッグ、フロントシートサイドエアバッグ、デュアルカメラブレーキサポート、誤発進抑制機能、車線逸脱警報機能、ふらつき警報機能、先行車発進お知らせ機能、エマージェンシーストップシグナル)をつけても147万9600円~と150万円を切る価格設定。コストパフォーマンスも素晴らしくいい。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. ベントレーの超高級住宅、最上階は「55億円」 クルマで61階の自宅まで
  2. 日産の新型セダン『N7』、発売50日で受注2万台を突破
  3. 【ダイハツ ムーヴ 新型】「ポッキー入れ」にイルミネーション、軽自動車でも質感を“あきらめさせない”インテリアとは
  4. トヨタ RAV4 新型、PHEVのEV航続は150km
  5. BMW、カーボン素材を天然繊維複合素材に置き換え、量産車に採用へ
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  2. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
  3. 茨城県内4エリアでBYDの大型EVバス「K8 2.0」が運行開始
  4. 中国EV「XPENG」、電動SUV2車種を改良…新電池は12分で80%充電可能
  5. コンチネンタル、EVモーター用の新センサー技術開発…精密な温度測定可能に
ランキングをもっと見る