【マツダ デミオ 15MB 試乗】かなり硬派な走り屋仕様のデミオ…中村孝仁

試乗記 国産車
マツダ デミオ 15MB
マツダ デミオ 15MB 全 7 枚 拡大写真

一昨年のカーオブザイヤーに輝いた『デミオ』。つい先ごろ、早くもマイナーチェンジが施されたのだが、それは別の機会で報告するとして、今回紹介するのは贅肉をそぎ落とし、走りに徹した「15MB」である。

15は排気量。そしてその後ろに付くMBは「モータースポーツ・ベース」の略だそうである。つまり、本来の使用目的はあくまでもこのクルマを使ってモータースポーツを楽しみたいユーザーに向けて作られたもので、公道走行は二の次。勿論公道を走行するための装備は最低限すべて揃っているから、そのままナンバーを付ければ一般道の走行はできる…という類のモデルだ。

エンジンはこのクルマ専用の1.5リットル直噴ガソリンユニットで、116ps/6000rpm、148Nm/4000rpmという性能を持つ。ラインナップモデルのガソリンエンジンは1.3リットルで、それぞれ92ps、121Nm(発生回転数はともに同じ)だから、ともに25%前後アップした性能となっている。しかも1.3リットル車と比較しても20kgほど軽い1010kgに収まっているのだ。

そこには例えばマツダコネクトの代わりに普通のAM/FMラジオを装備したり、エアコンをマニュアル化したり、さらにはリアシートは分割可倒ではなく一体可倒式にしたりと、モータースポーツには必要ないものを極力簡略化して最低限公道を走るためにダウングレードさせた仕様とされている。ステアリングだって革巻きではなくウレタン製だ。

あくまでもベース車両。どうせ本気でモータースポーツやるなら全部取り換えちゃうでしょ?ということか、サスペンションなどは1.3リットル車と同じで、要はエンジンだけがサイズアップされているのだ。因みに同じ1.5リットルだが、『ロードスター』のエンジンではない。もう一つ付け加えるとトランスミッションは6MTのみの設定で(当たり前か)、燃料はハイオク指定である。

肝心の走りはというと、軽さも手伝って十分に軽快かつトルクフルな走りを一般道でも楽しめることが分かった。残念ながら短時間の試乗で、しかも首都高、一般道のみの走行だったので、起伏のあるワインディングはほとんど走っていない。果たして148Nmの最大トルクが山坂でどのように走ってくれるかはわからずじまいだが、平坦な道路を走る限りかなり1.3リットルよりはトルクフルに感じられたので、山坂でもそれほど心配する必要もなさそうであった。

足に関しては言わずもがなで、1.3リットルと何ら変わらないのだから、乗り心地に関しては差異を発見できなかった。個人的にデミオディーゼルを所有しているが、ディーゼルと比べるとやはり走りは軽快。もっさりとしたところがどこにもないから、やはりアスリート的である。

装備を落としているのでお値段の方もMT装備の1.3リットルの一番安いモデル、145.8万円に対し、150万1200円とごく僅かのアップでしかない。だから、まあ手を出しやすいと言えば出しやすい。

想定されるモータースポーツはダートラやラリーなどらしい。果たして今の若者が、いきなり新車を買ってこの種のモータースポーツに参戦するかどうか知らない。少なくとも僕自身が若い頃、この種のモータースポーツに参戦する時はほぼ決まって中古がベースだった。だから、マーケティング的にこの仕様が売れるかといえば、甚だ疑問である。むしろハードボイルドな高性能デミオとして、より高価でも装備満載で足もチューンしたロードカーに仕立てた方がよかったようにも感じられる。それらしい、例えばRSというような名前を付けて…。

■5つ星評価
パッケージング ★★★★
インテリア居住性 ★★★★
パワーソース ★★★★
フットワーク ★★★★
おすすめ度 ★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来38年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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