万座・鹿沢口駅から在来線特急「草津」消え…古くからの温泉街、遠のく[フォトレポート]

鉄道 企業動向
吾妻線を行く185系「草津」、2012年夏ごろ
吾妻線を行く185系「草津」、2012年夏ごろ 全 24 枚 拡大写真

400年以上続く群馬の名湯が遠のく…。嬬恋村の最北にある万座温泉や、最東の鹿沢温泉への玄関口、万座・鹿沢口駅を発着する特急が今春ダイヤ改正から消え、地元の観光施設などからは「吾妻線からの客はもう見込めない」といった声が聞こえた(写真24枚)。

北海道新幹線開業のインパクトの影で、在来線特急の縮小が続く。JR東日本は、今春のダイヤ改正で、都心側の混雑緩和・利便性向上などを図りながら、「利用減少」とみた区間や列車の見直しを実施。新宿を夜9時台に発ち、前橋へと向かう特急「スワローあかぎ」「あかぎ」の運転を取りやめ、さらにその先の吾妻線区間でもメスを入れた。

伊香保や四万、川原湯、草津、万座、鹿沢といった温泉街への玄関口が連なる吾妻線には、1960年代から上野と長野原(現・長野原草津口)の間に優等列車が走り出した。1971年、万座・鹿沢口駅の開業と同時に、当時の165系急行「草津」が乗り入れ、157系・183系特急「白根」などとともに行楽輸送などを担ってきた。

JR東は、今春ダイヤ改正から、平日2本・土休日3本ある特急「草津」の長野原草津口~万座・鹿沢口間の運転を取りやめ、「同時間帯に普通列車を運転し、通過となっていた駅(群馬大津・羽根尾・袋倉)での乗車チャンス拡大を図る」という。

駅前で商店を営む女性は「新幹線ができてからは、万座温泉へ行く人は、軽井沢駅からバスに乗るようになった。(「草津」などの)特急で来て、この(万座・鹿沢口)駅からバスで行くよりも、新幹線で軽井沢駅まで来て、そこからバスに乗ったほうが早く着くしね」と話していた。

軽井沢駅と万座温泉・草津温泉を結ぶ西武高原バスは、鬼押ハイウェーを行くときに車窓に映る浅間山東山麓、鬼押出し園、万座ハイウェーでの嬬恋高原、嬬恋牧場などの景色も「売りのひとつ」という。前出の女性は、「万座・鹿沢口駅で特急が接続しなくなると、観光客はほぼ軽井沢駅経由になるかも」とも話していた。

また、給油所の男性スタッフは「マイカーやバスで来る客の割合が上がるかもしれないけど、そんなに期待できない。クルマ持ってる世代で、温泉に来る客っていうと、だいたいが年配の人たちでしょ。地元の人も来る客もみんな高齢化しちゃってる。かといって、バスとか電車で気軽に行ける温泉街に変わるってのは、難しいだろうしね」という。

国鉄時代から走り続ける特急「草津」。その活躍の場が狭まるのと同時に、高崎線や上越線を行く車両も世代交代する。都心と前橋などを結ぶ「あかぎ」系統の車両は、JR化後に登場した651系にすべて統一され、“国鉄最後の特急車両”である185系が、東北・高崎線方面の定期運用から外れる。

《レスポンス編集部》

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