【スマート フォーツー 試乗】コンセプトの良さを評価して選ぶクルマ…松下宏

試乗記 輸入車
スマート・フォーツー
スマート・フォーツー 全 10 枚 拡大写真

3代目となったスマート『フォーツー』の基本コンセプトは初代モデルから変わらない。今回のモデルでは全幅やトレッドが拡大されたことで、駐車時に占有するスペースはやや大きくなったが、それでも引き続きミニマムサイズのシティコミューターとして独自の地位を占めている。

今回の3代目では、440台(2色が220台ずつ)の限定車として販売される。これを売り切った段階で次の限定車を設定し、年に数回の設定を予定しているという。日本では特に、フォーツーの使い方はごく限定的なものにならざるを得ないので、こうした販売手法は合理的といえる。

しばらくの間、初代スマートの並行輸入車に乗っていた経験を持つ者としては、今回のスマートには相当に良くなったと感じられる部分がいくつかある。

ひとつはトランスミッションだ。従来のシングルクラッチからツイナミックと呼ぶデュアルに変わった。これによって変速時のトルク抜けがなくなり、格段にスムーズな変速が得られるようになった。

ただ、従来のシングルクラッチに比べれば大幅に良くなったが、それでも発進時に多少のギクシャク感を感じさせる部分があり、特にアイドリングストップからの復帰時にそれが感じられた。日本にはずっと良くできたCVTやATがあるので、このレベルではまだまだだ。

もうひとつ良くなったのは小回り性能だ。最小回転半径が3.3mというのは画期的な数字で、私が知る範囲では市販車として世界最小の小回り性能である。初代スマートが、狭い駐車場に入れられるものの、入れるたびに切り返しを必要とされたのとは大違いだ。

トリディオン・セーフティ・セルと呼ぶ独自のボディ構造は安全性に優れるが、今回のモデルでは高張力鋼板の採用を拡大することで、更に高い衝突安全性を確保した。レーダーセンサーを使った車間距離警報なども備えている。安全への配慮は一定程度に評価できる。

ベースグレードの「パッション」で209万円という価格設定は、『up!』 などのことを考えたらもうひと頑張りもふた頑張りもしてほしいところだが、まずまず手ごろなシティコミューターである。使い方限定ながら、初代モデル以来のコンセプトの良さを評価して選ぶクルマである。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

《松下宏》

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