【ATTT16】自動車と消費者情報の結びつきで広がるモビリティサービス…e-TOYOTA 藤原氏×CCC 二瀬氏

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Tポイントカードの月間トラフィック
Tポイントカードの月間トラフィック 全 6 枚 拡大写真

IoTの代表的な適用分野に自動車がある。センサーを多数搭載した自動車が生み出す膨大なデータと、消費者の購買活動に紐づくポイントカード情報を結びつけるとどのようなサービスや社会が見えてくるのか。

このテーマに対して「プローブデータ×汎用ポイント」と題されたパネルディスカッションが、国際自動車通信技術展(ATTT)で行われた。パネラーとして参加したのはトヨタ自動車 e-TOYOTA部長 藤原靖久氏とCCCマーケティング マーケティング本部 アカウントセールスユニット ユニット長 二瀬慎氏の2名。モデレータは「レスポンス」の三浦和也編集長が務めた。

まず各パネルが自社の業務や取り組みについてのプレゼンを行った。藤原氏は、会場にも展示している「TransLog」のデモ動画を交えながら、e-TOYOTAが考える運行支援サービスとその背景となるビッグデータプラットフォームを紹介した。二瀬氏は、Tポイントカードの現状やどんなビジネスを展開しているかを説明。Tポイントカードのトラフィックは4000万件/月だという。そして、ポイント情報から得られる購読雑誌、ガソリンスタンドの利用情報、テレビ視聴に関するデータが、車関係のビジネスやサービスに利用できるのではないかとした。

これを受けて三浦氏は「Tポイントカードは作成時に免許証で本人確認をしています。これは自動車関連のビッグデータとの親和性が高そうだが、そのような施策は考えていますか?」と藤原氏に尋ねた。

藤原氏は「考えています。これからの自動車メーカーは、車の機能や自動運転といった技術ばかりみていてはだめです。もっとモビリティサービスを提供するような会社にならないと、グーグルやアップルに負けてしまうでしょう。そのために、車をキーとしたIDで各種会員カード、ポイントカードの統合できないか、と考えています。」とした。ただし「現在、車をキーとすると、運転者が自分なのか奥さんなのか区別できない(藤原氏)」という問題もある。

続いて、「CCCはすでにテレビを利用したデータ収集とポイントサービスを始めています。同様に車という製品とポイントをつなげた場合、モノの価値が変わったりするのでしょうか?」と二瀬氏に質問した。

「弊社のビジネスのベースは個人で、これを広告や販促につなげているわけですが、データの対象をプロダクトにまで広げた新しいビジネスもあるのではないかとみています。車であれば、好みのラジオや音楽を自動で流してくれたり、スーパーの近くを通ったら、日用品の買い物履歴から『○○がそろそろ足りなくないか』とリマインドしてくれるようなサービスなどです。広告の利用で考えているのは、交通量と速度を考慮した屋外広告の価値の見直しです。交通量が多くてもスピードの高い道路より、ゆっくり通過する道路の方が広告価値は高いはずです。(二瀬氏)」

藤原氏は、この問題に「IoTのスピードで考える必要があると思っています。PL法やセキュリティの問題はありますが、技術的には解決可能なものと考えています。プローブカーのセンサー情報を、多数の車に配信できれば、事故や渋滞の防止につながるかもしれません。あるいは認知症などの運転適性を判断できるようになるかもしれません。このとき運転をやめさせるには、Uberのようなモビリティサービスも充実させなければなりません。」と答えた。

このようなリマインドサービス、レコメンドサービスを展開するには課題もある。先ほどの夫婦の識別に加え、シチュエーションの判断の問題だ。トイレットペーパーや味噌のリマインドはデート中にはしてほしくないだろうが、現状その判断は難しい。

これに対し、技術的な精度向上と利用者の許容度(あまりにプライベートな情報にからむレコメンドに対する拒否感情)の兼ね合いで、両名ともロボットやAIによる対応が望ましいとの認識を示した。そして藤原氏は「できれば、そのときECまでつないで購入までしてくれるほうが望ましい」とも主張する。それは、「車の中だけで完結していてはこれからはダメなんです。トヨタは航空機のボーイングのようにならなければなりません。単に車というハコを作って売るだけの時代ではないので、モビリティという視点で運行会社であり、足りない部分はアライアンスを組むといった、オープンなサービスへの接点になる必要があると思っています。」という理由からだ。

現在の自動車産業は、モビリティサービスという新しいエコシステムが求められている。

《中尾真二》

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