若桜鉄道「隼ラッピング列車」運行始まる…初日はバイク並走

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スズキの大型バイク「隼」のラッピングを施した若桜鉄道のWT3301「宝くじ号」。運行初日はバイクとの並走イベントも行われた。
スズキの大型バイク「隼」のラッピングを施した若桜鉄道のWT3301「宝くじ号」。運行初日はバイクとの並走イベントも行われた。 全 3 枚 拡大写真

郡家(鳥取県八頭町)~若桜(若桜町)間19.2kmの若桜線を運営している若桜鉄道は3月20日、「隼ラッピング列車」の運行を開始した。当日は運行開始記念イベントとして、大型バイクとラッピング列車の「並走パレード」も行われた。

「隼ラッピング列車」は、若桜鉄道のWT3300形気動車「宝くじ号」(WT3301)に、スズキ二輪の協力を受けて「隼」のラッピングを施したもの。若桜鉄道によると、初日は「隼ラッピング車」とバイク15台が並走し、沿線に2000人が集まった。

若桜線には起点・終点を含め9駅が設けられている。このうち起点の郡家駅から三つ目の隼駅(八頭町)は、スズキの大型バイク「隼」と同名であることから、「ライダーの聖地」として親しまれている。2009年からは、原則として毎年8月8日(ハヤブサの日)前後、同駅でイベントが行われている。今回の「隼ラッピング列車」も「ライダー達の熱い想いに応えよう」(若桜鉄道)との趣旨で実現した。

若桜線は1930年、旧国鉄のローカル線として開業。沿線の道路整備が進んだことや少子高齢化の影響により利用者が減少し、1981年9月には日本国有鉄道経営再建促進特別措置法(国鉄再建法)に基づく廃止対象路線に指定された。その後、第三セクター化により鉄道を存続することが決まり、国鉄分割民営化によるJR西日本の暫定運行を経て、1987年10月から若桜鉄道に移管された。

しかし、利用者数は1999年度の約67万1000人をピークに減少が続き、2008年度は約42万8000人に。1日1kmの平均通過人員(旅客輸送密度)は、旧国鉄時代の1977~1979年度の平均が1558人だったのに対し、2008年度は541人まで落ち込んだ。経営的にも1987年度から2008年度まで一度も黒字を計上したことがなく、赤字補てんのために設けた基金も底をつく事態となった。

このため、公有民営方式による上下分離経営への移行が決定。2009年4月からは、若桜町と八頭町が土地や線路施設を保有し、若桜鉄道が両町から施設を無償で借り受けて運行する体制に変わった。これにより2009年度から2011年度までは黒字を計上したが、利用者数は40万人前後の状態が続いており、2012年度以降は再び赤字に転落。2012年度の旅客輸送密度は500人を割り込んで441人になった。

若桜鉄道では、旧国鉄時代からある駅舎などの古びた施設をレトロ観光資源とみなして観光客の誘致を図っている。また、兵庫県多可町で保存されていたC12形蒸気機関車1両(C12 164)を譲り受け、2007年から圧縮空気を動力源とした駅構内での保存走行を開始。2015年4月には営業運転を目指して蒸気機関車の走行実験を行うなど、観光収入の増加を目指した取り組みを進めている。

《草町義和》

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