【ATTT16】ビッグデータ活用したビジネス、今後の方向性と課題とは…ホンダ × トレタ

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ATTT16 パネルディスカッション プローブデータ X O2O
ATTT16 パネルディスカッション プローブデータ X O2O 全 8 枚 拡大写真

ATTT16のセミナー会場では、インターナビを展開するホンダ、飲食店向けにクラウドベースの予約・顧客台帳ツールを提供するトレタ、ともにビッグデータを活用した事業を手がける両社の担当者が、将来のサービスの方向性などについて議論を交わした。

目的地までの的確な到着時間予測や渋滞時の迂回ルート案内などを特徴としているホンダのカーナビサービスであるインターナビでは、新サービスを導入に向けた取り組みが行われている。

ホンダの四輪事業本部事業企画統括部スマートコミュニティ企画室ビジネス開発ブロックでブロックリーダーを務める秋和茂光氏は「テレマティクスやフローティングカーデータ(FCD)の集積を活用して、さらに充実したサービスが提供できないかということで、『ROAD H!NTS』というネーミングで実証実験に着手している」と説明。

さらに秋和氏は「ROAD H!NTSは目的地までのルートに合わせた形でいろいろな情報を提供することを特徴にしており、中でもお客様の関心が非常に高い“食”にフォーカスしながら、お客様の情報検索の手間を省きながら、目的地までの質の高い情報を提供することを目指している。このためタウン誌の方々と連係して地元の名店を紹介するなどクオリティの高い情報を厳選している」と述べた。

一方、トレタの代表取締役を務める中村仁氏は「飲食店の多くが現在でも紙の予約台帳を使っていて、それが飲食店のネット予約化が進まない原因になっている。そこを変えるためにクラウドベースの予約・顧客管理するツールを提供する事業を始めた」と創業の経緯を語った。

中村氏は「我々のツールを導入することで24時間かかっていた宴会予約の対応が10分で済むようになるだけではなく、これから先の需要行動そのものが見えてくることも特徴。いわば予約を可視化することで、契約店舗では従来やってこなかった画期的な施策が打てるようになる」とも話した。

パネラーを務めたジャーナリストの林信行氏は「未来の行動履歴のビッグデータを持っているということが、ある意味両社の共通項」と指摘した上で、「これまで様々なデータを蓄積してきたことで、どういったことがみえてきたのか」と両者に問いかけた。

ホンダの秋和氏は「お客様へのサービスを充実していく上で、やはりお客様の嗜好をつかんでいくことは非常に大事だと考えている。またナビの利用者だけでなく、情報を提供して頂く店舗に対してもリピーターの増加につながるようなサービスをいかに実践しいくのかということも課題だ」と話した。

トレタの中村氏は「契約しているすべての店舗のデータを集めて、常連という切り口で解析してみると、実に来店者9割が新規客というデータがでてきて、リピーターは1割しかいなかった。いかに飲食店のリピーター対策が下手かということがわかった」という。

さらに「予約回数と再来店率の相関を調べたところ、初回来店者のうち再来店したのはわずか7%だった。これが2回来店した人になると再来店率が24%、3回で39%、4回は50%と上がっていくものの、6回以上になると再来店率があまり上がらないこともわかった」とも。

このため「初回来店者が7%しか再来店しないのであれば、2回、3回目の来店者に力を入れるといった、いままでやってこなかった対策が考えられるようになってくる」と中村氏は指摘する。

両社ともに、データの蓄積を活用して新たなサービスの導入や将来予測の精度向上に取り組んでいることが浮き彫りになった。

ただホンダの秋和氏は「様々な情報をFCDで集積した上で、お客様の欲しい情報を心地良く提供、それに響いて頂くことを目指しているが、お客様に様々な情報を提供していく中で、逆に気持ちが悪いとか、なぜここまで自分のことを把握しているのかと思われないようにすることに腐心している」とも明かす。

トレタの中村氏も「そこは一番センシティブなところで、ベンチャー企業であってもしっかりやらなくてはならないと思っている」と応じた。

その上で「店を探す時に知り合いの人に聞いたり、グルメサイトを検索すると、すごく手間がかかるが、それが全く手間なしで自分の好みの店をいくつかピックアップしてくれるのであれば、そこはメリットがあるという話になるので、わかりやすい利便性が提供できれば理解は得られやすいと思う。そういうものが必要だ」と強調した。

《小松哲也》

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