【新聞ウォッチ】本気、それとも“ホラッチョ”? 経産省が燃料電池車「2030年に80万台」

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経済産業省でのホンダ クラリティ フューエル セル納車式
経済産業省でのホンダ クラリティ フューエル セル納車式 全 2 枚 拡大写真

気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。

2016年3月22日付

●米大統領キューバ訪問、88年ぶり、オバマ氏「歴史的」(読売・1面)

●愛知製鋼が稼働再開、爆発事故以来(読売・11面)

●米、自動ブレーキ標準搭載、22年までに、当局、車20社と合意(読売・11面)

●主張、燃料電池車、世界標準へ量産に弾みを(産経・2面)

●船橋オート最終レース、65年の歴史に幕(東京・30面)

●タカタ、米子会社売却へ、車内装材、数億円、車大手株も処分(日経・1面)

●消えゆく列車に惜別、はまなす・カシオペア・白鳥(日経・43面)

ひとくちコメント

タンクに貯蔵した水素でモーターを回して走る「燃料電池車(FCV)」が再びクローズアップされている。

先週には、トヨタ自動車などが京浜臨海部で風力発電を活用し「CO2フリー水素」を供給する水素サプライチェーンの実証実験を開始すると発表。ホンダも燃料電池車の『クラリティ フューエルセル』の第1号車を経済産業省に納車した。八郷隆弘社長は「ガソリン車に遜色のない性能を備えた自信作。外部給電でき、非常用電源としても活用できる」とアピールしたそうだ。

その経産省は間髪入れずに「燃料電池車を2025年までに国内販売台数で20万台、30年までに80万台を目指す」という野心的な計画を公表した。燃料を供給する水素ステーションも25年度までに現在の4倍となる320か所に増やすという。

きょうの産経は社説の「主張」でも「いち早く量産化に取り組み、世界標準の地位を確立する必要がある」と、取り上げている。

また、3月21日の東京朝刊では特集企画の「核心」で「燃料電池車未来へ課題」とのタイトルで掲載。「エコカーとして期待されるFCVだが、普及を進めるには量産技術の確立や低コスト化など、乗り越えるべき課題も多い」と伝えた。

その記事の中で、公表された目標値については「経産省の担当者は『挑戦的だが、無理な数字ではない』と目標達成に自信を示す」(東京)とコメントしているのが興味深い。

古い自動車記者なら記憶にあるだろう。今から14、5年前、当時の小泉内閣が掲げた政府の燃料電池車の普及目標は、たしか「2010年度5万台、2020年度500万台」という驚異的な数字だったと記憶している。

あれから15年、この間のバッテリー技術などの革新が進み,当時は1億円以上といわれた価格は、補助金を含めると500万円程度までに下がったが、街角でトヨタの『MIRAI(ミライ)』を見かけたことはほとんどない。

今後の普及のカギとなるのは、建設費が5億円程度とされる高額な燃料の水素を供給するステーションの拡充が不可欠。その建設費にも官公庁などからの補助金が支払われている。経産省も再び「ホラッチョ」と呼ばれないためにも、予算が底をつかない限り税金を投入しても水素ステーションを増やす戦略を打ち出すことになるだろう。

スタンド不足のLPG車や電気自動車のように燃料切れの不安を解消しなければ普及は進まないからだ。

《福田俊之》

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