日産が3月に大磯で実施した小型商用車(LCV)全ラインナップ公開で、全長6m、重さ3tのアメリカンピックアップを運転。慣れる間もなくタイムアウトしたが、そのエンジン、インテリア、サイズ感に、北米で売れてる“アメ車カテゴリ”を垣間見た(写真30枚)。
その名も、『タイタンXD』。今回、大磯ロングビーチの駐車場に連れ出されたこのアメリカンピックアップのグレードは「クルーキャブ・プラチナムリザーブ」という最上位グレードで、5万7470ドル(約645万円)。
このXDは、先代モデルから改良が加えられたラダーフレームに、フロントにダブルウィッシュボーン、リアにマルチリーフのサスペンションが組まれ、カミンズ製5リットルV8ターボディーゼルエンジンが載る。310馬力を発揮するこのエンジンには、アイシン製のトランスミッションが組み合わさる。
全長6m17cm、全幅2m5cm、重さ3.3t。よじ登るように運転席に着き、フロントウィンドウの視界をさえぎるほどのボンネットが見えて、その大きさを実感するが、アクセルを倒すと、そのサイズを忘れるほど滑らかに走り出す。
罪悪感があるままペダルをガバッと踏むと、ダッシュボードのすぐ先でディーゼルがドドドドと回り出し、あっという間に60km/hに達する。ハンドルを切ると、カーブの外側に車体がぐっと沈むとき、このクルマの重さを初めて感じる。メーターは、4000回転からレッドゾーンで、220km/hまで刻まれていた。
カミンズ製エンジンといえば、鉄道の世界でも身近な存在。そのサウンドは、JR東海のキハ11形、キハ25形、キハ75形、キハ85系などや、JR東日本のキハ110系といった気動車の力行時に聴ける。これらDMF14HZ系エンジンも300~500馬力クラスだから、なんとなくタイタンのパワーと重なるところがあるか。
インテリアは黒と茶のレザーで仕立てられた「ラグジュアリーセダンが嫉妬するほど」のつくり。荷台部分は、モトクロスバイクを2台載せても余裕があるほどの大容量。120Vコンセントがつく。
身長165cmほどの小柄な中年記者は、この巨体のサイズ感をつかめずにタイムアウト。恐る恐る走らせた6m・3.3tに、少しだけアメリカを体感した。その姿を心配そうに見つめていた日産スタッフは、「無人で走ってるんじゃないか」と心配顔。クルマをとめて下車したとき、その顔がやっとほころんだ。