マツダの工場は「からくり」だらけ! 自作ロボットが動き回る工場

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マツダ本社工場の組み立てライン。「からくり」たちが工場内を走る
マツダ本社工場の組み立てライン。「からくり」たちが工場内を走る 全 6 枚 拡大写真

マツダの主要工場は世界で5ヶ所あり、このうち2つが日本にある。山口県にある防府工場と、広島にある本社工場だ。今回、本社工場の車両組み立てラインを見学する機会を得た。そこで目にしたのは、自動的に動き回る「からくり」と呼ばれるロボットたちだった。

今回見学できた場所は、車両の組み立てを行う建物の中。一階では部品アッセンブリー(部品を集めて1つにしたもの)が作られ、二階ではそれが実際に車両に取り付けられるメインラインとなっている。そのメインラインでは車体が納車される順番に流れてくるので(計画順序生産)、一つ一つの車種に合わせた部品を取り付けてゆく。ここを過ぎればあとは検査工程を残すのみという、まさに自動車生産の最終段階だ。

ここでの部品の取り付けは作業員によって行われる。作業員たちの後ろには部品が乗ったワゴンが並び、そこから順番に部品を取り付けていくのだが、この際部品を「選ぶ」という動作を省略するため、取り付ける順番に部品が運ばれてきているという。

このような効率化を実践するマツダの工場だが、一番の効率化は「からくり」と呼ばれる動くワゴンだ。

工場の中を、アニメの曲を流しながら悠々と進んで行くワゴンたち。自動で動くこれらのワゴンはからくりと呼ばれ、バッテリーとモーターが搭載されており、床に張り巡らされたテープに沿って進んで行く。必要な場所ではしっかり止まり、空になったワゴンがあればそれを引っ張って次の作業場へ運んでゆく、まるで知能を持ったロボットだ。

これらのからくり、なんと現場で働く作業員たちが自作したもの。自分たちで回路など勉強して作ったという。自らの作業を「簡単に、楽に」ということで、やりやすいように改善していった結果が、これらからくりの誕生だというのだ。

そしてこのからくり、なんとそれ自体が進むということ以外に動力を一切使用していない。台の向きを変えるときはポールに一部を引っ掛け回転させ、他のワゴンを引っ張る際もテープに沿って進むことで自動的に連結するように工夫されている。

他にも組み立てラインでの作業には多くの機械仕掛けの工夫があり、どれもからくりと呼ばれ、自作されたものだという。マツダの本社工場で働く作業員たちは、日々の業務をいかに効率化するかを日頃から考え、実践する。「簡単に、楽に」というのは、それだけ自分の作業に集中することができるということでもあり、これら日々の改善がマツダのクルマ作りを支えているのだ。

《取材協力》
マツダ株式会社

《関 航介》

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