Toyota Research Institute CEOが語る、自動運転技術による「事故を起こさない車」

自動車 テクノロジー 安全
Toyota Research Institute(GTC16)
Toyota Research Institute(GTC16) 全 9 枚 拡大写真

米サンノゼで開催されたGTC(GPU Technology Conference)のキーノートイベントにて、現地時間の4月7日、Toyota Research Institute(TRI)のCEOであるGill Pratt氏が自動運転技術に関する発表を行った。

Pratt氏はDARPA(米国防高等研究計画局)のロボットコンテスト「Robotics Challenge」のプログラムマネージャーを務めていた人物で、今年1月にTRIのCEOに就任している。トヨタの人工知能の研究開発拠点となるTRIには、今後5年間で10億ドルが投じられる。

キーノートでは、交通事故の死亡者数が世界では年間120万人にものぼっていることに言及し、TRIが事故を防止する観点から自動運転技術の研究を行っていると説明した。Pratt氏は自動運転技術には2種類のモデルがあると述べ、1つは専属運転手のように人が指示を出して人工知能に車を運転させる「Series Autonomy」モデル、もう1つは同氏が「Guardian Angel(守護天使)」と呼ぶ、人間による運転を人工知能がバックアップして事故を回避させる「Parallel Autonomy」モデルであるとしている。

これまでの自動運転技術は、自動で目的地まで走行するタイプのものが多くみられたが、TRIは人間による運転の安全性をさらに高めるための自動運転技術を強く押し出してきた。「Parallel Autonomy」モデルは、居眠りや運転ミスを自動で判別して衝突を避けてドライバーの命を守ってくれるというもので、「Series Autonomy」とうまく融合させることでより安全な運転を可能にするのだとPratt氏は語っている。これらは、DARPAでのロボット研究データが大きく活かされている。

「Safety(安全)」「Environment(環境)」「Mobility for All(皆が使いやすい移動手段)」「Fun to Drive(運転の楽しみ)」というトヨタ現社長である豊田章男氏の4つのビジョンをPratt氏が紹介しているが、自動運転技術の研究においてもそれらを踏まえ、「安全性」と「運転の楽しみ」を強く意識していることが見て取れる。

今回、TRIはNVIDIAのGPU技術を投入した、自動車内のあらゆる動作をシミュレートするというサッカー場ほどの広さの施設を紹介している。この施設は、自動車運転における様々なシチュエーションを再現することが可能で、人工知能のディープラーニングに活用される。また、ミシガン州アナーバーに新たな研究所を今年6月に開設することも発表。TRIアナーバー研究所は、ミシガン大学の海洋工学部准教授Ryan Eustice氏とコンピューターサイエンス学部准教授Ed Olson氏が主任を務め、約50人の研究者が従事する予定だ。

《佐藤大介》

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