X線天文衛星「ひとみ」、分離するまでの推定メカニズムを公表…回転していると誤って自己判断

宇宙 テクノロジー
X線天文衛星(ASTRO-H) 「ひとみ」軌道上外観図
X線天文衛星(ASTRO-H) 「ひとみ」軌道上外観図 全 1 枚 拡大写真

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、通信ができなくなっているX線天文衛星「ひとみ」(ASTRO-H)の状況を公表した。

「ひとみ」は3月26日16時40分に発生した運用異常の前後に、「姿勢異常」、「物体の分離」、「通信異常」の3つの事象が発生している。この「衛星状態正常」から「姿勢異常」が発生し、「物体の分離」するまでについての有力なメカニズムが推定した。

それによると、「ひとみ」は3月26日に活動銀河核観測のための姿勢変更運用を計画通り実施したが、姿勢変更運用終了後、姿勢制御系の想定と異なる動作により、実際には衛星が回転していないにもかかわらず、姿勢制御系は衛星が回転していると自己判断した。

この結果、回転を止めようとする向きにリアクションホイール(RW)を作動、衛星を回転させるという姿勢異常が発生したと見られる。この時、姿勢制御系が実施する磁気トルカによる、角運動量のアンローディングが姿勢異常のため正常に働かず、RWに角運動量が蓄積し続けたと推定される。

姿勢制御系は、この状況を危険と判断、衛星を安全な状態とするためセーフホールド(SH)に移行、スラスタを噴射したと推定される。この際、姿勢制御系は不適切なスラスタ制御パラメータにより、想定と異なる指示をスラスタに与えたと思われる。

この結果、スラスタは想定と異なる噴射を行い、衛星の回転が加速する作用を与えたと推定される。

衛星の想定以上の回転運動により、太陽電池パネルの一部、または伸展式光学ベンチ(EOB)など、速い回転に対して構造的に弱い部位が分離したと推定されるとしている。

今後、電力・通信の確立に向けた運用、回転状態・形状推定のための地上観測やメカニズム、故障の木解析(FTA)などの推定が残る部分の検証、今回の事象の要因を分析していく。

《レスポンス編集部》

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