デモカー製作者が語る…クラリオン『Full Digital Sound』の革新性と期待値

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クラリオン『Full Digital Sound』
クラリオン『Full Digital Sound』 全 11 枚 拡大写真

遂に昨日(4月20日)、大注目の新カーオーディオシステム、クラリオン『Full Digital Sound』のデリバリーが開始された。クラリオンの独自開発による、世界初の車載用LSIを搭載したこの革新的なシステムが、いよいよ全国津々浦々に行き渡るときがやってきた。

ここに至るまで、この音が広く一般に開示されたのは計3回。初登場は1月に開催された『東京オートサロン2016』のクラリオンブースだ。2台のデモカーがデビューし、3日間の会期中フル回転でデモンストレーションが実行され、多くの来場者に衝撃を与えた。これら2台のデモカーは、2月に開催された『大阪オートメッセ2016』、3月に開催された『イースセミナー&ショー2016』(販売を担うイース・コーポレーション主催の販売店向けイベント)でも大活躍し、前者では多くの一般来場者に、後者では全国のカーオーディオインストーラーたちに対して、新時代のカーオーディオ・サウンドを聴かせてきた。

その音が遂に、日本中のユーザーの手元に届けられる日がきたのである。

このタイミングに際して当サイトでは、ここまで話題を提供し続けてきたこれらデモカーの製作者を取材。いち早くこの革新のシステムに触れていたお二方に、同システムの“実力”と“期待値”をお訊きした。今改めて、クラリオン『Full Digital Sound』(以下『FDS』)の“登場した意義”と、“今後の可能性”とを、深く掘り下げてみようと思う。

■人を惹き付ける“フック”が多いカーオーディオ製品

まずは、Volkswagen Golfのデモカーを製作した、イース・コーポレーションの尾前政光副社長にお訊きした話からご紹介していく。最初に、『FDS』の音を初めて聴いたときの印象から伺った。

「『FDS』の音を初めて聴いたのは去年の12月、デモカーに組んだ後です。とりあえずの調整だけを施して鳴らしてみると、その音にはっとしました。解像度の高さと、クリアさ、そして音色の美しさを感じました。

実を言うと、デモカーを製作している段階では、販売を担うことは100%の決定事項ではなかったのです。事前にお話を訊いて、これは手掛けるべき価値と意義のある製品だとは思っていたのですが、音を聴くまでは半信半疑な部分もあったのです。しかし聴いた瞬間に、やろう、と決断できました」

ところで、イース・コーポレーションではたくさんの欧米カーオーディオブランド製品を正規輸入している。しかし『FDS』は、それだけでシステムが完結する。『FDS』を販売したとしても自社取扱製品との連携はほぼ見られないだろう。それでも『FDS』の販売を手掛ける意義は、どこにあるというのだろうか。

「確かに数年前までは、プロセッサーとパワーアンプの一体モデル等、発展性の薄い“複合機”は積極的に扱ってはいませんでした。しかし、特に昨年に入ったあたりから、そういったタイプの製品のニーズが高いことを肌で感じるようになっていました。良い音で聴きたいけれど、省スペースで完結させたい、というニーズがあるんだな、と。『FDS』は、そのようなニーズにジャストミートする製品だと思っています。ニーズがあるところに良い製品を出すのは、全体を広げるために必要なことですから」

次には、『FDS』に対する総合的な評価をお訊きした。

「コストパフォーマンスの高さが光っていますね。これと同等なレベルのシステムを組もうと考えて、プロセッサー、アンプ、スピーカーと単品で揃えていったら、なかなかこの価格で実現することは難しいと思います。

プロセッサーも使いやすいですね。そして素晴らしいと感じるのは、そのプログラムの完成度の高さです。自分が使っている範囲の中では、もう気になる点はなくなっています。製品によってはスピード重視で市場に投入し、その段階では課題を積み残していたりするんですね。まずは出して、後からバージョンアップで対応していく。しかしさすがは日本製品です。最初から完成形を持ってきましたね。

あと『FDS』の良さとして感じるのは、興味を引く“フック”が多いことです。通常のカーオーディオ製品では、“音が良い”こと以外では、インパクトのある訴求ポイントが少ないですが、当製品ではそれ以外にも、“省スペース”、“省電力”、“省重量”、“取り付けのしやすさ”といった特長がある。さらには“新しさ”、“値頃感”も大きな魅力です。ここまで多くの利点を携えているカーオーディオ製品は、かつてなかったと思います」

この話も至極納得できるものだ。“フック”が多ければ、より多くの人から求められることとなるはずだ。それも踏まえ最後に、『FDS』に寄せる“期待値”をお訊きした。

「カーオーディオ愛好家の層を広げてくれる製品だと思っています。店頭での試聴会イベントを開催すると、これ目当てで聴きに来たと言う新規のお客様がいらしたり。これまでカーオーディオ・プロショップに足を向けていなかった方を、着実に呼び寄せているんですよ。注目度も大きく業界にも良い刺激を与えてくれています。

“カーオーディオを換えた”と言う人が増えれば、そこから“カーオーディオ”自体の認知が広がっていくはずです。なら自分もやってみよう、と思う人も出てくるでしょう。『FDS』は、そのきっかけになり得る製品だと思うんです。期待感は非常に大きいですね」

■世界初の革新的技術が実用レベルで実現されていることに、わくわくする。

続いてはもう1台のデモカー、SUBARU・BRZに『FDS』をインストールし、サウンドチューニングを施した、「Avカンサイ」の岩元秀明代表にお訊きした話をご紹介していく。「Avカンサイ」と言えば、全国区のカーオーディオコンテストでの度重なる優勝・入賞経験を持つ有名ショップだ。大阪府と兵庫県にそれぞれ1店舗ずつを構えている。

岩元さんにも、『FDS』の音を初めて聴いたときの印象から伺った。

「最初にデモカー製作の依頼を受けたとき、『FDS』とは何なのか、本社から技術者にも来ていただいて説明を受けたのですが、デジタル信号でスピーカーを駆動させる肝心要の『Dnote技術』の全詳細は公開されておらず、そこについては細部まで理解が及ばなかったんです。すべてを理解できないものを扱うことに戸惑いもあったのですが、新しい製品が登場することは大歓迎ですから、その依頼をお受けしました。

とはいえ、音には正直、それほど期待はしていなかった。新しいものが、これまで何十年もかけて熟成されてきた技術を簡単に上回れるはずはないですから。ところが音が出ると、思っていたより全然良かった。価格から考えれば、“良い音”の範疇に十分入っていると感じました。

とにもかくにも、今までなかった技術、世界初の革新的な技術が実用レベルで実現されている。しかもちゃんとした製品になっている、という事実自体が凄いことだと思うんです。デジタル信号でスピーカーを駆動するなんて、あり得ない技術です。それで音楽が楽しめるんですから。わくわくしますよね」

確かに、“楽しそうだ”と思えることは、製品としてとても大事なことだ。『FDS』にはそれがある。

続いては、『FDS』に対する“期待値”をお訊きした。

「このシステムの利点が特に活きてくるのは、次世代のクルマ、電気自動車ですよね。電気自動車で存分に音楽を楽しもうとして大型のパワーアンプを複数積もうものなら、満充電で300km走れるところが220kmになった…、なんてことも起こり得ます。しかし『FDS』ならば、純正オーディオよりもむしろ航続距離が伸びるかもしれない。かつ純正よりも数段音が良い。そうなったらカーオーディオマニアでない層も、カーオーディオの世界に入ってくるでしょう。そんなことを考えると、楽しいですよね。

『FDS』によってクラリオンは、OEM市場においても今後、アドバンテージを発揮するのではないでしょうか。成功してほしいと思っています。クラリオンがもう1度、カーオーディオに気力を注いでくれていることが嬉しいですし、成功することでさらに新しい製品を開発することもできるでしょう。結果、それは我々にとってプラスとなります。

そのためにも、ショップが『FDS』を育てていかなくては、と思っています。お客様に満足していただくことが、もっとも重要です。この製品の良さを良さとして感じていただいて、喜んでいただいて。ショップの力で、製品の評判を上げていきたいですよね」

さらには、どのようなユーザーにお勧めなのかも訊いてみた。

「カーオーディオを始めてみたいけれど、ヘヴィ級のシステムは組みたくない、という方に是非ともお使いいただきたいですね。『FDS』ならば、重量、消費電力、金額、取り付け難易度、それらをすべてクリアできると思います。

そして、『FDS』を導入していただいたら、調整もぜひ、ご自分でトライして楽しんでいただきたいと思います。自分にとってのもっとも良い音は、自分でないと作れないと思うんです。そう考えた時、調整技術がキモになってきます。『FDS』のチューニングアプリは、とても使いやすくできています。触らない手はないですね。難しいからやらない、というのも1つの選択肢ですし、お店で調整してからお客様にお渡ししますが、せっかく手にしたものを楽しみ尽くしてほしいと思うんです。『FDS』は、カーオーディオに新しい楽しさを提案してくれる製品だとも感じています」

最後に、身の回りでの『FDS』に対しての“期待値”についてもお訊きした。

「近隣ショップとイベントの打ち合わせをしたときに、みんながあれはどうなのかって、凄く訊いてくるんですよ。そんなに訊かれる製品って、これまででは思い付かないですね。ショップが興味を持っているというのは、お客様が興味を持っているということだと思います。みんなが期待しているんですね。

『FDS』を、そしてクラリオンを、できる限り応援したいと思っています。お客様に、革新の技術がこの値段で買えて、しかもこんなに良い音がするんだ、と思っていただくことが、1番の応援なんじゃないでしょうか。そしてこれに続いて、第2弾、第3弾と、次々に新しい製品が登場してくることにも期待したいですね」

お二方とも、『FDS』の“実力”を高く評価し、かつ、大きな“期待値”も抱いている。そうさせる理由は、『FDS』がそれだけのポテンシャルを秘めているから、に他ならない。

さて、いよいよこれを自分のものとすることができる日が到来した。この、まったく新しいカーオーディオの音を、アナタの愛車に、ぜひ。

話題の新機軸カーオーディオシステム、クラリオン『Full Digital Sound』。搭載デモカー製作者に訊く! 「その実力と期待値」

《太田祥三》

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