【ホンダ クラリティ FC】やりすぎ? なディティールは世界最高レベルの空力のため

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ホンダ クラリティフューエルセル
ホンダ クラリティフューエルセル 全 16 枚 拡大写真
ホンダが3月10日にリリースした量産型燃料電池車『クラリティフューエルセル(FC)』。ボディのシルエットは正統的なセダンスタイルだが、細部を見ると少々やり過ぎ感があるようにも思える。

実はこうした細部デザインの中には、ルーフ側面のモールなど装飾性を演出するためのものもあるが、そればかりではない。むしろ、燃料電池車に必要な冷却性を確保する、空力特性を向上させるといった、機能に関連する要素デザインが多いのだという。その一例が、リアドア下部に設けられた導風口。ここから空気を採り入れ、後輪のタイヤハウス前縁から風をホイールに吹きつけることで、風のカーテンを作り、乱流が発生するのを防ぐためのものだ。

「単にここにダクトを設ければいいというわけではありません。全体の空力を考えつつ、ボディ側面の気流の流れをうまくダクトに向けてやる必要があるのですが、これが難しかった。フロントのエアカーテンは一般的な技術ですが、4ドア車でリアホイールにエアカーテンを持つクルマは、クラリティFCが世界初です」

車体設計担当者はこう説明する。

クラリティFCの空力特性は「市販車としては世界最高水準」(車体設計担当者)であるという。Cd値(空気抵抗係数)は非公表。ホンダは以前はCd値を発表していたが、床下やホイールについても実走行状態をシミュレートできる新型風洞を導入したところ、風洞によってCd値に差が生じてきたことから、公表するのをやめたのだという。

セダンタイプで最後にCd値を発表したのは先々代『アコード』で、数値は0.26であったが、クラリティのエアロダイナミクス性能はそれを圧倒するレベルとのこと。燃料電池車はEVと同様、高速・高負荷域での運転は効率が落ちるという弱点を抱えているが、実際にクラリティFCを高速道路で走らせ、瞬間燃費計の挙動を観察したところ、クルーズ燃費は140km/kgくらいを期待できそうだった。走行抵抗の削減、とりわけ空力特性の向上にこだわった成果が燃費に表れているとみて良さそうだった。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

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