名門ブランド仏「FOCAL」、新定番スピーカー「New K2 Power」を聴いてみた

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トヨタ・G's AQUA by ビーウィズ
トヨタ・G's AQUA by ビーウィズ 全 10 枚 拡大写真

世界に名高いHi-Fiスピーカーブランド『FOCAL』。同社の“顔”ともいうべき定番カースピーカー「K2 Power」シリーズが、9年ぶりのフルモデルチェンジを果たして鮮烈な日本デビューを果たしたのは、今年2月のことだった。

『大阪オートメッセ 2016』の会場で初お披露目され、そしてそれ以降このスピーカーは、専門家、ならびにカーオーディオフリークたちから大きな注目を集めている。なにせ「K2 Power シリーズ」といえば、名門フレンチブランド『FOCAL』の、押しも押されもせぬ主力カースピーカーである。しなやかで美しく、そして力強いそのサウンドで、世界中の『FOCAL』ファンを魅了し続けてきた名機だ。

それがこの度、振動板素材以外のすべてを刷新させて新登場したのである。聞けば、投じられた開発費はなんと総額2億円以上。並々ならぬ情熱を持って作り出された意欲作であることは疑いようもない。早速、今年1月にアメリカ・ラスベガスで開催された「CES 2016」においては、シリーズ中の主力機「ES 165 KX2」(税抜価格:11万円)が、「イノベーション・アワード」を受賞。お墨付きをも携えての、堂々の日本デビューだったのだ。

そして、3月に国内でデリバリーが開始されるや否や、各所でその音質性能が賞賛され、話題が話題を呼んでいる、という状況である。

その新機軸スピーカーを搭載したデモカーが、正規輸入代理店である『BEWITH』の手により完成したとの情報を受け、いち早くそのサウンドを確かめるべく、『BEWITH』が本社を構える佐賀県・鳥栖市に赴いた。連休明けの5月某日のことである。

■インストールスタイルは至ってカジュアル。仰々しさは一切なし。

デモカーのベース車両は、トヨタ・G's AQUAだった。搭載システムは以下のとおり。オーディオメインユニットは、「アルパイン・BIG X」と『BEWITH』のルームミラー型リニアPCMプレーヤー「STATE MM-1D」(税抜価格:20万円)とを採用するダブルヘッドスタイル。両機を『BEWITH』のプロセッサー 「BEWITHSTATE」(税抜価格:20万円)に接続し、これにて制御された音楽信号を、イタリアの実力ブランド『PHD』のパワーアンプ「ART-4085s J-Model」(税抜価格:15万円)へと送り込む。

ちなみに、このパワーアンプも何気に注目機である。詳細は当記事の終盤で解説するが、独特の豊潤なサウンドで多くのファンを獲得している気鋭ブランドの、期待のニューバージョンモデルなのだ。そしてそこで増幅された信号により、「New K2 Power」シリーズの「ES 165 K」(税抜価格:7万5000円)が駆動される、というシステムレイアウトが採用されている。

ところで「New K2 Power」シリーズには計7機種のコンポーネントスピーカーがラインナップしている。16.5cmのコアキシャル(同軸)モデルが1機種、セパレート2ウェイモデルが計5機種、セパレート3ウェイモデルが1機種、という内訳だ。そのうち主力となる16.5cmのセパレート2ウェイモデルは3機種。デモカーに搭載されている「ES 165 K」は、その中でもっともお手軽なモデルである。トップエンド機ではなく、敢えてベーシックモデルを搭載したのには、何か理由があるのだろうか…。

なお、インストールスタイルも、至って現実的な手法が取られていた。トゥイーターはAピラー等に埋め込まれずに、特製のマウントを用いてダッシュボード上にポンと置かれている。ドアに装備されたミッドウーファーも、純正位置の内張りパネル内に収められていて、見た目の印象は実にあっさりとしたものだ。仰々しさは一切ない。

さて、音のほうはどうなのだろうか。至ってカジュアルな佇まいの中で、奏でられたそのサウンドとは…。

■1つ1つの音が太く、厚く、そして温かい。充実感みなぎるサウンド。

「STATE MM-1D」に挿入されたCFカード内のデモ音源が再生されるやいなや… 。そのリアルなサウンドステージにハッとした 。ボーカルがステージの中央にすっと立ち、演奏している各楽器が、その後ろでそれぞれの位置関係を明確にして居並んでいる。これほどの明確なサウンドステージの再現は、ハイエンド・カーオーディオ・システムでないと不可能だ。それをこのG's AQUAは、いとも簡単に表現してみせている。

音色も美しい。単にキレイというだけでなく、充実感がみなぎっている。1つ1つの音が太く、厚く、そして温かい。密度が濃く、そして響きが豊かなのである。

さらには、低音の力強さも印象的だった。サブウーファーを使っていないのでローエンドまで出ていることはないはずなのだが、聴感上は低域の量感がたっぷりとしていて、かつパンチ力がある。ほどよくタイトで、ガツンと体に響いてくる。

また、“ヌケの良さ”も感じる。非常にクリアで、各楽器の音がしっかりと分離している。輪郭がシャープなのだ。しかしながらボリュームを上げてみても、高域が耳に突き刺さることはない。クリアでありながら、耳当たりは常に心地良い。

7万円台のスピーカーでここまでの音が聴けることはそうそうない。そう言い切れるレベルである。もちろんカーオーディオの音は総合力で決定されるので、他のユニットの性能や、取り付けの正確さ、サウンドチューニングの的確さ等々も発揮されてのことであり、この音の良さが、すべてスピーカーの実力によるものではないことは確かだ。しかし「ES 165 K」が、もろもろの実力を、効果を、しっかりと再現できていることもまた事実。このスピーカーの能力の高さを疑う余地はない。

■「New K2 Power 」シリーズの、懐の深さをつくづくと思い知る…。

ちなみに、使われているパワーアンプ、「PHD・ART-4085s J-Model」も、今回初めて聴いた製品だった。昨年より新たに取り扱いを開始した『BEWITH』の手によって、各所がモディファイされて新登場された注目機である。もともと日本でも、コストパフォーマンスに優れたパワーアンプとして着実にファンを獲得してきた『PHD』であるが、今回のリニューアルにより、回路の見直しやパーツ選定等々、2chモデルで計10箇所、4chモデルでは計18箇所が見直され改善されているとのことだ。

低域のパンチ力、制動力、そして歪みの少なさ、音のクリアさについては、このパワーアンプの性能もあってのことだろう。“音楽の情熱を余すところ無くスピーカーへ届ける”ことを信条とするこのイタリア製のアンプのストロングポイントが、いかんなく発揮されている。フランスの銘品『FOCAL』との相性も、すこぶる高そうだ。

さて、結論である。9年振りのフルモデルチェンジを果たした「FOCAL・New K2 Power」シリーズ。その実力は、紛れもなく本物だ。同口径の2ウェイコンポーネントは、デモカーで使用されているものよりも上級モデルがあと2機種あるのだが、それらでは、これよりもさらに良い音が聴けるであろうことは確実…。ベーシック機「ES 165 K」がさりげなく取り付けられたG's AQUAの音を聴くことで、「New K2 Power」シリーズの懐の深さをつくづくと思い知らされた。

カーオーディオの音をもっと良くしたいと考えている方は、『FOCAL』の「New K2 Power」シリーズを要チェック。当シリーズが、確かな満足を与えてくれるスピーカーであることは、間違いない。

フランスの名門スピーカーブランド『FOCAL』の新定番スピーカー、「New K2 Power」搭載デモカーの音を聴く!

《太田祥三》

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