【アルファロメオ ジュリエッタ 試乗】スペックを超えた愉しさこそアルファの真髄…森口将之

試乗記 輸入車
アルファロメオ ジュリエッタ QV
アルファロメオ ジュリエッタ QV 全 24 枚 拡大写真

クアドリフォリオ・ヴェルデ(QV)。いまから90年以上前、第1次世界大戦直後の1923年に、勝利を呼び込む幸運のお守りとして、4つ葉のクローバーがアルファ・ロメオのレーシングカーに描かれたのが起源だという。

【画像全24枚】

戦後になっても伝統は引き継がれ、『ジュリア・スプリントGTA』のような、レース出場を前提とした市販車にも与えられた。さらにその名は『164』、『145』などの高性能モデルに使われるようになった。

『ジュリエッタQV』は、日本で買える新車のアルファで、その伝統を受け継ぐ唯一の存在。戦後生まれのホットハッチとは歴史の重みが違うのだ。

エンジンがそれを証明している。他のジュリエッタが1.4リットル直列4気筒ターボのマルチエアを搭載するのに対し、「QV」にはミッドシップスポーツ『4C』と同じ、1750ccの直噴ターボがおごられている。240psの最高出力まで共通だ。

あえて1.75リットルと書かず、「1750」と記したのにもわけがある。この数字もまた、第2次大戦前の1929年に生まれたスポーツカーの名作「6C1750」や、1970年代の「1750ベルリーナ/GTV」などに由来しているからだ。

しかもさすがはアルファ、こういったスペックを超えた愉しさを、乗り手にもたらしてくれる。アクセルペダルを踏んだ瞬間にグォッと唸り、ブォーンという響きとともに豪快に加速していく様子は、僕もかつて愛車にしていた、ウェーバー・キャブレターを2連装していた時代のアルファ・ツインカムを思い出させるのだ。

もちろん加速そのものも、240psもあるだけあって豪快そのもの。QVという栄光の称号、1750という伝統の数字を受け継いだことが実感できる。フロントフェンダーに掲げられた4つ葉は、やっぱり伊達ではない。

それでいて、その気になればファミリーユースにも対応できる懐の深さを備えているところが、ジュリエッタQVの好ましさだ。

伝統の盾をセンターに据えたスポーツカー風の顔つき、リアドアオープナーをピラーに隠したクーペライクなサイドビュー、筆記体の“g”を横にしたようなグラフィックが印象的なテールランプなど、アルファならではのディテールを随所にちりばめたボディは、身長170cmの僕なら後席にも余裕をもって乗れ、後方には奥行きも深さも十分な荷室を備えるのだ。

サスペンションは硬めだが、同時に乗った弟分の『MiTo(ミト)』に比べると、随所でしなやかさを感じる。リアサスペンションにマルチリンク式をおごっただけあって、上級車であることをさまざまなシーンで教えてくれるのだ。

でもグリルのバーやドアミラーをガンメタで揃えたエクステリアや、安直にシルバーやピアノブラックに頼らずホンモノの粋を追求したインテリア、手触りからも色合いからも手作りのぬくもりを感じるレザーシートは、ファミリーユースにしておくのが忍びないような妖艶な世界を作り出している。

日本人の多くはこういう出で立ちを見て、自分には似合わないというネガな考えから入ってしまうようだ。でもイタリア車に乗る人との付き合いも多い自分が感じるのは、この国のクルマは乗り手を育ててくれるということだ。もちろんそれは、ドライビングテクニックからファッションセンスまで多岐に渡る。だから自信を持って選び、乗りながらカッコ良くなってほしいと思っている。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

森口将之|モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト
1962年東京都生まれ。自動車専門誌の編集部を経て1993年に独立。雑誌、インターネット、ラジオなどで活動。ヨーロッパ車、なかでもフランス車を得 意とし、カテゴリーではコンパクトカーや商用車など生活に根づいた車種を好む。趣味の乗り物である旧車の解説や試乗も多く担当する。また自動車以外の交通 事情やまちづくりなども精力的に取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。グッドデザイン賞審査委員。

◆アルファロメオ ジュリエッタの試乗申し込みなら「試乗予約.com」!!

《森口将之》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

レスポンス公式TikTok

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. ホンダ23車種、ガソリンが漏れるおそれ…6月掲載のリコール記事まとめ
  2. スズキ『カプチーノ』復活の可能性!…軽規格を維持、FRレイアウトも継承か
  3. 三菱『パジェロ』新型のデザインはこうなる! 公式発表は2026年秋予定
  4. ホンダ23車種・3364台をリコール 低圧燃料ポンプ交換作業に不備
  5. ヤマハの原付電動スクーター『JOG E』全国発売へ、本体のみなら約16万円で買える
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. セキュア開発における脅威分析【自動車セキュリティ解説 第2回】
  2. 「容赦なきエルグランド包囲網」トヨタの高級ミニバン『アルファード』改良発表にSNS注目! 価格も争点に
  3. バックミラーは「銀座4丁目」だった…電子ミラー最大手「ジェンテックス」が握る車内センシングの主導権
  4. 自動車業界の現場が直面しているサイバーセキュリティの課題と実態【自動車セキュリティ解説 第1回】
  5. GaNで車載オーディオが変わる? 次世代D級アンプが示した高音質化の可能性
ランキングをもっと見る