【ルマン24時間 2016】トヨタ TS050 は「ルマン勝利のために超短期開発した」…開発リーダー語る

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今季のWECに投入された「トヨタTS050 HYBRID」(5号車)。
今季のWECに投入された「トヨタTS050 HYBRID」(5号車)。 全 8 枚 拡大写真

20日、今季のルマン24時間レースをひと月後に控え、初の総合優勝が期待されるトヨタがメディア説明会を実施。マシン開発リーダーの村田久武氏は、今季投入のニューカー「TS050 HYBRID」を「絶対ルマンで優勝することを目標に開発しました」と評し、手応えをにじませた。

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トヨタが今年WEC(世界耐久選手権、ルマンはWEC第3戦)の「LMP1-Hクラス」に投入した新型ハイブリッドレーサー「TS050 HYBRID」は「約10か月という超短期で開発したマシン」と、モータースポーツユニット開発部の村田部長は言う。それを敢行した動機は「去年、惨敗をしまして、それが悔しくて」であった。

「すべてのコンポーネントを一新しないと来年(16年)勝つことはできない」との結論に至った村田部長らは、16年へ向けての完全新車開発を「最終的には(15年の)ルマンの頃に決めました」。

エンジンは2.4リットルV6直噴ツインターボ、ハイブリッドの蓄電装置にはハイパワー型リチウムイオン電池を使うなど、従来車TS040(3.7リットルV8自然吸気、蓄電装置にはキャパシタ使用)から完全に生まれ変わったTS050は、「絶対に今年のルマンで優勝することを目標に開発しました。我々はルマンのコースレイアウトに集中して、それに特化して開発してきました」。WECのシリーズタイトルは14年に獲得済み。もちろんその奪還も目指すが、最優先はルマン初制覇だ。

超短期開発で、「走り始めたのが2月の中旬くらい」ということもあり、「3月のプロローグテストや4月の開幕戦シルバーストンはまだマッチングをしている真っ最中。ドタバタしながら走っていました」と村田部長は述懐する。しかし5月の第2戦スパ・フランコルシャンでは「ようやくクルマが(本来の性能を発揮して)走れるようになり、レースができる状況になりました」。

そのスパ戦では中嶋一貴組の5号車が優勝確実といえる走りを6時間レースの中盤過ぎまで披露。ルマン前哨戦でもあるスパで、アウディとポルシェ相手にトップを快走した実績は心強い限りだ。だが、5号車はエンジントラブルで勝機を逸してしまう(小林可夢偉組の6号車にも、同種のものかは不明だがトラブルが出た)。

村田部長は「スパでは“オー・ルージュの壁”に跳ね返されました」と振り返る。オー・ルージュというのは下って上るスパの名物セクション。そこではマシンが強めに底打ちをするのだが、それによりエンジン(マシン)がダメージを受けたことがスパ逸勝の原因だという。LMP1-Hマシンがかなりの高速化、空力マシン化を果たしている現在のレース事情が、予想外の強い底打ちを招いたのだろうか。

詳細な原因究明と対策はもちろん施されるが、「ルマンにはオー・ルージュのようなところはないです」ということも含めて、大きな不安はなさそう。スパではかなり暑いコンデションでもあったが、そこでリチウムイオン電池等に問題が発生することはなかったという。「ルマンでも(TS050は)いい性能を発揮して、ぶっちぎってくれると思います」。

およそ10年、トヨタのハイブリッドレーサー開発を引っ張ってきた村田部長にとってひとつの集大成であり、トヨタの悲願でもあるルマン総合初優勝は、今年達成されるのか。大注目の決勝24時間レースは6月18~19日に開催される。トヨタでは多くの人にレースに“参加”してもらうため、LINEを使った情報発信等も駆使し、今年のルマンを盛り上げていく意向だ。

《遠藤俊幸》

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