【インタビュー】メルセデスベンツの悩みが純正サウンドチューンパックを生み出した

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ソニックデザイン Sound Suite「アコースティックコントロールパッケージ」を装着した、メルセデスベンツ Cクラスで試聴
ソニックデザイン Sound Suite「アコースティックコントロールパッケージ」を装着した、メルセデスベンツ Cクラスで試聴 全 27 枚 拡大写真

メルセデス・ベンツ日本とソニックデザインのコラボ、サウンドスウィート(Sound Suite)シリーズが新たな展開を始めた。

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サウンドスウィートシリーズといえば、先代のCL、CLSクラス』で弩級のオーディオを纏った純正コンプリートカーとして台数限定でデビューしたのが2010年。翌2011年には純正オプションとして新型CL、S、Eクラスにも専用のサウンドスウィートシステムが選ぶことができるようになった。ちなみにオプション価格はEクラス用が175万円、Sクラス用が295万円、CLクラス用は390万円(いずれも税込価格)というさすがのメルセデスオーナーでも怯んでしまうほどだが、本当に音にこだわるオーナーは納得してしまうサウンドクオリティとして話題となった。

ところがこの春、サウンドスウィートシリーズに異変が起こった。A、B、CLA、GLA、C、GLCクラスというメルセデスとしてはリーズナブルな車種といえる6モデルの純正アクセサリーとして、サウンドチューンアップ製品 ソニックデザイン サウンドスウィート「アコースティックコントロールパッケージ(Acoustic Control Package)」が登場した。価格はC、GLCクラスの6万3000円からA、B、CLA、GLAクラスの8万4000円まで、にわかに信じられないほどリーズナブルな価格帯への展開だ。

音楽好きを自称し、コンサートに通うだけにとどまらず、ホームオーディオからカーオーディオまで、音にこだわりを持つレスポンス編集長・三浦和也が、メルセデス・ベンツ日本 アフターセールス・マーケティング部 部長の豊生浩一氏に、プレミアムカーにおけるオーディオにいったい何が起きているのか、様々な背景と採用の意図を聞いた。(以下、敬称略)

◆アコースティックコントロールパッケージはスピーカー交換ではない

豊生:メルセデスが新たにオプションパッケージとして展開する「アコースティックコントロールパッケージ」は、車両構造的にドアスピーカー交換が難しいメルセデス車向けに、ソニックデザインさんの車室内音響解析・補正技術を集約して開発されたサウンドチューンアップ商品です。C、GLCクラスでは2本、A、B、CLA、GLAクラスでは4本の18mmドームツイーターとアコースティックコントロールキットから構成されています。

三浦:まず、スピーカー交換ではないことに驚きました。純正システムの構成はそのまま残し、ツイーターを追加して音の帯域を広げておいてからドアスピーカーの帯域の分担とエレメントの制音能力で劇的に音の透明度を上げていると感じました。コスト最小限で、センスと腕で純正オーディオから実力を引き出している。モノ売りの発想とはかけ離れていますね。お金を出す側からみても、モノを購入する感覚ならば高いと感じますが、良い音を得るためと考えるととても安いオプションです。

豊生:最大の特徴は、純正のオーディオ・ナビユニットやコマンドシステム、ドアスピーカー、ウーファーなどを取り外さず、活かしながら音質を確実に向上させるという点です。取り付ける際、車両側を加工することなく、カプラーオンで接続させることで、車両の資産価値を損なう心配がない。さらに、メルセデスベンツ純正アクセサリーとして、製品保証も受けられます。

◆なぜ純正アクセサリでオーディオが?

三浦:そもそもの背景をお伺いしたいのですが、いまのプレミアムカーは、メルセデスに限らず高級オーディオとのコラボが盛んですよね。Burmester、Bang & Olufsen や、Mark Levinson 、KRELL、B&W など、名だたるオーディオブランドが、アフターマーケット市場ではなく純正市場にのみ参戦しています。10年前はこうではありませんでしたよね。

豊生:車内で音楽を聞きながらリラックスするという楽しみは以前からありました。ところが、近年のクルマの進化で車内空間の遮音性や静粛性が抜群に向上したり、CDからiPod、デジタルラジオ、インターネットラジオとソースがどんどん高音質になってきました。

三浦:確かに、この10年はモバイルオーディオの進化が劇的で、車内に高音質ソースを持ち込む機会は増えました。視線を運転にとられるなかで音楽は最高のエンターテイメントですね。メルセデスもBurmesterというドイツが誇るプレミアムオーディオブランドのオーディオがオプションで用意されています。

豊生:ここからが我々の悩みです。地元ヨーロッパだと、メルセデスを購入するときには、ボディや内装のカラー、装備など個々のオプションを選んでオーダーするというのが主流です。その中でBurmesterのオーディオも選んでもらえます。ところが日本で、仕様のオーダー後に工場生産し船便に乗せると納車まで半年近くかかってしまうことになります。よって、日本仕様ではセットオプションというかたちで、人気が集まりそうな仕様パッケージを予め決めて輸出してもらうことになります。その結果として、リーズナブルな車種ではBurmesterオーディオだけを車両価格を抑えて選んでもらうことが難しくなっています。

三浦:なるほど。近年増えている若手のメルセデスオーナーが、装備はベーシックだけど音はノーマルよりもワンランク上げたいという要望に応えられなかったと…。確かに、ワンランク上のクルマであるメルセデスを選ぶ人にとって、ワンランク上の音質が10万円以下入手できれば、クルマ購入体験としての満足度も上がりそうですね。

◆言葉や写真では伝わらない魅力がある

豊生:どんなにモノがよくても、50万円、60万円と費用がかさむと難しい。リーズナブルで、かつ効果を実感していただけることがポイントだと思っています。いま販売店側で視聴できるようなデモカーをたくさん増やそうとしているところです。

三浦:デモカーは必要だと思います。だってノーマルの音質も聴き比べなければ悪くない。たぶん満足してしまうと思います。しかし「アコースティックコントロールパッケージ」を聞いてしまうと抗いがたい魅力があります。

豊生:そうですね。説得力が違うと思います。

三浦:ソニックデザインの音の特徴は、低音にあると思っています。今回はCクラスで比較視聴させてもらいましたが、非常に、タイトな低音。ヴワーンとしていなくて、固まり感のある低音ですよね。ウッドベースの手触り、弦の振動に近づくことができる。何度もいいますが、ノーマルオーディオのレベルが低いわけではない、いい素材だからチューニングすると一気にレベルが上がる。チューニングされたオーディオは音像定位もしっかりしている。ステアリング握って、オーバーヘッドディスプレイ付近からボーカルの声が聞こえてきます。これはぜひ体感してほしいですよ。

◆渋滞は最高のリスニングルームだ

三浦:もうひとつ気がついたことを指摘させてもらって良いですか?

豊生:どうぞ(笑)。

三浦:メルセデスの「ディストロニックプラス」とオーディオの相性の良さです。

豊生:「ディストロニックプラス」は、いまやメルセデスの最大のセールスポイントです。ステアリング協調の有無など世代の差はありますが、すべての車種で装備されています。

三浦:首都圏でいえば夕方の東名や中央高速は、とくに連休ともなれば必ず渋滞します。まず、Cクラスの「ディストロニックプラス」の低速追従機能は先行車を認識しつつアクセル/ブレーキだけでなくステアリングも微調整してくれます。ノロノロ運転が続く限りはまさに自動運転でした。これで渋滞のストレスがゼロです。そこで私は思う存分オーディオ試聴が出来たわけです。CDの入れ替えや選曲で、少しの間視線や手が運転から離れても完璧でした。

豊生:三浦さんにはプラグインハイブリッドのC350eにも試乗していただいたのですね。いかがでしたか?

三浦:プラグインハイブリッドはオーディオ試聴にとって完璧です。電池を貯めた状態で渋滞に突入した場合、EVモードで走行するのでエンジンがオフになります。つまり、アイドリングの振動も高速走行時のロードノイズも風切音もない静粛な空間です。20km渋滞は約1時間。C350eの満充電なら約20kmのEV走行。アルバム1枚も約1時間。渋滞が全然いやじゃない。最高のリスニングルームになりました(笑)。「あっ、いいオーディオがついててよかったな」と思える瞬間です。これはお薦めですよ。

豊生:クルマの進化によって、オーディオにもあらためてスポットライトがあたりますね。音楽をじっくり自宅で聴くというのも減ってきてますしね。渋滞といえどもテレビやスマホを見ては危険ですからぜひ車内で良い音で音楽を楽しんでいただきたいと思います。

***

ユーザーのニーズに応えるオプションで、期待以上の移動空間を提供するメルセデスとソニックデザインのコラボレーション。豊生氏は、「ちゅうちょなく検討してもらえる価格帯として、10万円前後のオプションをさらに充実させていきたい」とも話していた。次の展開にも期待したい。

《レスポンス編集部》

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