浅間ヒルクライムに2万人が来場、自動車文化の発展と地域振興めざす

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トヨタ 	セリカST185RC
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日本で本格的なヒルクライムの開催と、自動車文化の発展を目指し、それによって地域振興を図る目的で開催されている「浅間ヒルクライム」。今年も5月28日から29日にかけて行われた。主催は浅間ヒルクライム実行委員会。

ヒルクライムとは、山などの標高差を利用してワインディングを駆け上がりタイムを競うもので、海外ではパイクスピークなどが有名だ。日本でもここ数年各地で開催され始めている。浅間ヒルクライムは高峰チェリーパークライン(長野県小諸市)を封鎖し、約8kmを計測するが、単に速さではなく、平均速度59km/hにいかに近いかを競うものだ。公道を封鎖していることから、ナンバーのないレーシングマシンなども走行可能で、今回も多数参加していた。今年の優勝は平均速度59.055km/hを記録したアルピーヌA110であった。

このイベントは当初、公道封鎖が出来なかったが、積極的に地元自治体との協調を図り、地元商店街をはじめ、政府機関や各自治体、警察などの協力を得ることで、3年前より公道封鎖が実現し、現在に至っている。その会場には地元の名産や屋台なども多数出展され、来場者数も年々増加。今年は2日間で2万人に近くが来場し、大いににぎわいを見せ、小諸市の町おこしイベントとして定着した様相だ。

このイベントは、「主催者だけではなく、エントラント、スタッフ、スポンサー皆で作っていくもの。そうして自動車の魅力を観客に伝え、楽しさを感じてもらう。その結果この開催地への経済効果に現れ、喜ばれるものに皆でしていきたい」と、想いを語るのは、大会ディレクターの星野雅弘さん。それぞれの意見に耳を傾け、積極的に改善に努めている。今年の最大の改善は更なる安全面の充実だ。具体的には、スーパーGTのオフィシャルドクターでファーストレスキューオペレーションの日本導入に貢献した高橋規一ドクターがスタート地点で。また、別のドクターがゴール地点で待機することで万全の態勢を整えていた。

星野さんは、「自動車文化を育てていく中で人が注目されることが少ない」と日本の傾向を語る。具体的には、「海外ではサーキットなどでおじいさんが孫を連れ、ドライバーの説明や、偉業を讃える話をしているが、残念ながら日本ではそういった姿を見ることがない」という。そこで、日本のレジェンドドライバーのクラブ、“Gold Star Drivers Club of JAPAN”と連携し、更に自動車文化を育てていきたいと話す。

また、イベント全体の運営面では来年より、小諸市との協力が更に密になるという。星野さんは、「小諸市長より、このイベントは小諸市の宝だ。小諸市として磨いていきたいといってもらえた」と述べ、小諸駅から会場までのシャトルバスの運行を市が行い、また、市職員もこれまで以上に積極的にサポートに回ることから、より運営面の充実が期待される。

2017年も5月27日から28日にかけて開催される予定だ。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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