【DS 5 試乗】デザインはアバンギャルドの面目躍如…中村孝仁

試乗記 輸入車
DS 5
DS 5 全 13 枚 拡大写真

歴史を紐解くと、現行DSラインナップで最後に登場したのがこの『DS 5』。だから最新鋭かというと、実はそうでもなくて、そのシャシーベースは何とシトロエン『C4』。ハイドロ系のサスペンションをやめてしまったから足は至って普通である。

【画像全13枚】

しかし、アバンギャルドな印象はこのデザインから一目瞭然。メカで凝ったことが出来なくなった分、デザインにその全精力を注いで作ったと感じられるのが、このDS 5だ。DSブランドが立ち上がって新しくなったのは、グリル回りのデザインだけで、大きく変わったところはないが、エンジンの方は手直しされて、従来の156psから165psにパワーアップ。併せてストップ&スタートシステム(要はアイドリングストップ)も装備される。トランスミッションはアイシン製の6速ATだから、メカニカルトレーンに関していえば完全に『DS 4』と同じというわけである。

前述したように、元々デザインが売りのこのクルマ、外観はソリッドな塊感のあるデザインで、特にヘッドライトからAピラーにかけて走るサーベルラインと呼ばれるクロームのラインが特徴だ。グリルが変わったことで今度はそのクロームのラインがグリルにも溶け込んでいる。といっても先端の部分で途切れていて、どうせなら一体化させてしまえばよかったのに…と素人考えが湧く。リアエンドもルーフが下がり、ウィンドーはルーフスポイラーを挟んで上下に分割される。外観ではわかりにくいが、ウィンドーはルーフに回り込んでいるのだ。

一方のインテリア。コックピットは航空機を彷彿させるデザインで、不思議な感覚に包まれるドライビングポジションである。ルーフコンソールが大きく張り出して、ガラスルーフは左右に分割されている。デザイン的にはともかくとして、これはヘッドスペースを犠牲にしてどことなく違和感を感じてしまう。

『DS 4 クロスバック』のすぐ後にDS 5を試乗した。DS 4の素晴らしく滑らかで、滑るような感覚の乗り味に魅了された直後。しかも基本シャシーは同じで、ホイールベースはこちらの方が長いとなれば、さらなる快適さを期待するのも無理ならぬこと。ところが予想に反してDS 5の乗り味はその滑るような感覚もなければ、DS 4で感じたシャキッとした節度感もなく、全体的な曖昧さに支配されていた。

ステアリングの中心付近は左右にかなりの量、入力を加えても全く無反応で、ズボラな運転には向いているものの、個人的にはあまり好みではなかった。車両重量がほぼ200kg、DS 4 クロスバックよりも重く、全く同じパワートレーンだから、パフォーマンス的にも負けている。勿論ギア比はファイナルまで含めてすべて同じ。というわけで、期待値に対するDS 5の走りは少々ハズレ、であった。

ただし、1.6リットルのツインスクロールターボユニットは重さのせいでパフォーマンスが少しスポイルされているものの、スムーズな回転と静粛性の高さについては大いに評価したい。それにATとのマッチングも文句なしだ。

■5つ星評価
パッケージング ★★★★
インテリア居住性 ★★★★
パワーソース ★★★★
フットワーク ★★★★
おすすめ度 ★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来38年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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