広島電鉄、車内で食事できる路面電車「TRAIN ROUGE」公開…元大阪市電768号を改造

鉄道 企業動向
広電の新しいイベント電車「TRAIN ROUGE」。7月から営業運転を開始する。
広電の新しいイベント電車「TRAIN ROUGE」。7月から営業運転を開始する。 全 12 枚 拡大写真

広島市街を中心とした路面電車網を運営する広島電鉄は6月12日、車内で飲食できるイベント電車「TRAIN ROUGE(トランルージュ)」を千田車庫(広島市中区)でお披露目した。7月1日から市内線での営業運転が始まる。

フランス語で「赤い電車」を意味する「TRAIN ROUGE」は、750形電車の768号を改造したイベント電車。改造は大阪車輌工業が担当した。外観は赤と黒をベースにした塗装でまとめられた。側面は中央部のドアを撤去して窓を広くとり、客室スペースの拡大と眺望性の向上が図られている。広島電鉄電車企画課の片山陽課長によると、デザインは「メーカー(大阪車輌工業)と協議しながら決めた」としており、外部のデザイナーは関与していないという。

内装は黒を基調としたシックな雰囲気でまとめており、食事を提供できるようテーブル付きの座席(定員26人)を設置。ビールサーバーや冷蔵庫、映像・音響機器も設置した。ビールサーバーは走行時の揺れに対応するため、スワン形のドラフトタワーを採用している。

当面は7月1日から8月31日まで、『ひろでんビール電車』として広島駅~広電西広島間での往復運転が行われる予定だ。運転本数は平日が1本、土曜・休日が2本で、全体の所要時間は約100分。このうち20分は折返し地点になる広電西広島駅での休憩時間になる。車内では生ビール飲み放題で、特製弁当も付く。利用者自身による飲食物の持ち込みも可能だ。事前予約の団体貸切のみ扱い、販売額は1団体につき12万9800円。予約は6月20日から受け付ける。

9月以降は「好評なら『ビール電車』の運転期間延長もありえる」(片山課長)としつつ、小規模なグループ向けの運転なども「今後考えていきたい」としている。

750形は元大阪市電の路面電車。大阪市電の廃止にあわせ、大阪市交通局から1601・1651・1801形の計22両を1965年から1968年にかけて譲り受け、形式を750形(751~772号)とした。このうち766号は1982年、テレビドラマ「西部警察PART-II」の電車爆破シーンに使われたことで知られる。また、772号はミャンマーの鉄道電化計画に伴い同国へ輸出された。

現在残っているのは762号と768号の2両のみ。このうち「TRAIN ROUGE」に改造された768号は2015年1月から休車扱いとなり、鉄道マニアの間ではその去就が注目されていた。広島電鉄の椋田昌夫社長は「まだ使えるのにもったいないということで、若い社員に検討してもらった結果、イベント電車に改造することになった」などと話した。

《草町義和》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. ベントレーの超高級住宅、最上階は「55億円」 クルマで61階の自宅まで
  2. BEVを2年間所有した、“リアルな”ランニングコストを大公開
  3. 日産の新型セダン『N7』、発売50日で受注2万台を突破
  4. 【ダイハツ ムーヴ 新型】「ポッキー入れ」にイルミネーション、軽自動車でも質感を“あきらめさせない”インテリアとは
  5. VW『ゴルフGTI』50年の歴史で最強、325馬力の「EDITION 50」発表
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 茨城県内4エリアでBYDの大型EVバス「K8 2.0」が運行開始
  2. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  3. コンチネンタル、EVモーター用の新センサー技術開発…精密な温度測定可能に
  4. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
  5. BYD、認定中古車にも「10年30万km」バッテリーSoH保証適用
ランキングをもっと見る