【ランボルギーニ ウラカン LP580-2 試乗】後輪駆動モデル、完成度の高いスーパースポーツ…吉田匠

試乗記 輸入車
ランボルギーニ ウラカン LP580-2
ランボルギーニ ウラカン LP580-2 全 7 枚 拡大写真

現在のランボルギーニのラインナップには、V12エンジン塔載の『アヴェンタドール』とV10エンジン塔載の『ウラカン』の基本2モデルがある。それらは基本的にすべてミドエンジンの4WDモデルとして設計されているが、そのなかに唯一、2WD、つまり後輪駆動のモデルがある。それが『ウラカンLP580-2』で、「580」の数字は自然吸気5.2リットルV10エンジンのパワー、つまり580psを意味し、その後ろの「2」が2WDを意味する。

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◆580psのパワーを後輪だけで路面に、スリリングなコーナリングを実現

このウラカンLP580-2、ミドエンジンスーパースポーツとしてのウラカンのドライビングプレジャーをよりディープに味わうべく、敢えて4WDの安定性を捨てて駆動輪を後輪のみにしたクルマである。その結果、車重も4WDモデルより33kg軽くなって1389kgという軽量を達成、0-100km/h 3.4秒の加速と320km/hの最高速を得ている。

とはいえ、それはあくまで2WD化の副産物であって、その本来の目的は、自然吸気5.2リットルV10の絞り出す580psのパワーを後輪だけで路面に伝えることによって、4WDでは得られない軽快にしてスリリングなコーナリングを実現することにあるはずだ。そのためにサスペンションセッティングを変更すると同時に、車体の中心部分にLPIなるセンサーを搭載するなど、2WD独特のハンドリング制御を加えている。

それらの結果LP580-2は、ステアリングホイールの下の部分に、イタリア語で「魂」を意味するというANIMAというドライビングモードスイッチを備えている。そのモードが「ストラーダ」状態では基本的に弱アンダーステアのハンドリングを維持するが、「スポルト」および「コルサ」モードではニュートラルステアおよびオーバーステア傾向の挙動を生み出すという。さあ、貴方のテクニックでそれをコントロールしてくださいな、とドライバーを駆り立てるクルマなのだ。

◆デフォルトの「ストラーダ」モード、実感を得易いドライビングを提供

そのLP580-2のプレス試乗会が6月中旬、鈴鹿サーキットのフルコースを舞台にして開かれた。試乗車は4台のLP580-2で、インストラクターが乗って先導するのが2台の4WDモデル、LP610-4という布陣。まずはインストラクターの助手席でコースを観察した後、自分がステアリングを握って合計3回走るが、なんとこの日の鈴鹿は前日からの雨で路面がウェットという、580psの後輪駆動スーパースポーツを走らせるにはまったく相応しくない状況だった。

そんななか、小雨が降り、ワイパーを使う必要があった1回目と、雨は止んだけれど路面はまだ明らかにウェットだった2回目は、コーナーでのスロットルワークにひたすら神経を遣って危なげなく乗り切ったら、最後の3回目になったとき、路面は幸いにも走行ライン上は大半の部分でほぼドライと呼べる状態になっていた。そこでたった2周だったけれど、LP580-2をちょっとそれらしくプッシュすることができたときのことを報告しよう。

前の2回は、インストラクターの指示どおりドライビングモードを「スポルト」にして走っていたが、3回目は走り出す前にANIMAスイッチを操作するのを忘れて、デフォルトの「ストラーダ」で走り始めてしまった。そのことに気づいたのは1ラップ目のS字をほぼ上り切ったあたりだったが、実はこの「ストラーダ」モード、決して悪くなかった。

「ストラーダ」は本来、弱アンダーステア傾向を実現するモードとされるが、それだけにハンドリングは通常のクルマを走らせているのに近く、スロットルを閉じればアンダーステアが弱まって、ノーズを内側に向けることができる。つまり、ドライバーがコントロールしている実感を得易いドライビングを、意外なほど気持ちよく提供してくれるのだった。

◆真骨頂「スポルト」、その実力を試した

が、しかし、「ストラーダ」モードのままではLP580-2の真骨頂は味わえない。そこで、デグナーに入る手前でANIMAのモードを「スポルト」に切り替えた。この「スポルト」モード、プレゼン時に流れたビデオによれば、ほぼニュートラルでコーナーに進入して、弱オーバーステア気味にそこを抜けていくようにハンドリングをセットしてあるとされる。

路面はほぼドライになったとはいってもまだ生乾き状態なので、580psの後輪駆動スーパースポーツに高速コーナーで全開をくれる勇気は持ち合わせていない。そこでヘアピンを脱出する際に深めにスロットルを踏み込んでみたら、ウラカン580-2は軽いテールアウトの姿勢を見せたものの、危なげなくそこをクリアしてみせた。ステアリングが路面のフィールを鮮明に手の平に伝えてくるのも、そういったドライビングを可能にしてくれる一因になっているといえる。

へアピンに続く右高速コーナーをクリアすると、鈴鹿の難所のひとつとして知られるスプーンカーブに進入する。入口と奥との2つのコーナーで成り立つスプーンを、4WDモデルのペースカーを追って可能な限り速く、しかし慎重にして繊細なスロットルワークで抜けると、580‐2は明確なオーバーステア傾向さえ見せなかったものの、ほとんどアンダーステアを感じさせないニュートラルな軌跡を描いてそこを抜けていった。

続くバックストレッチでは、ペースカーの巻き起こす水煙を追って全開をくれたら、背中の後ろでランボルギーニV10が金属的な爆音を奏でつつ9000rpm近くまで跳ね上がってみるみるスピードを上げ、ブレーキングポイントのサイン手前でデジタルメーターの数字が250を超えるのを確認した。

◆サーキット以外も走ってみたいと思わせるスーパースポーツ

すぐさまブレーキングを開始すると、スチール製のローターにアルミのキャリパーを組み合わせた580-2専用のブレーキが強力なストッピングパワーを発揮して、確実にスピードを殺してくれる。このブレーキがかなり頼れるものであることは、グランドスタンド前を駆け下って1コーナーに突っ込んでいく際にも、はっきりと実感できた。

そんな風に、こちらにペースを合わせてくれるペースカーを追ってもう1ラップ、ほとんどアンダーステアを感じさせない後輪駆動のウラカンを鈴鹿のフルコースに舞わせるのは、緊張感に満ちてはいたもののなんとも愉しいものだった。しかも、同業者が乗る後続の580-2がバックミラーから見えなくなるペースで走れたのだから、悪い気分ではない。

というわけでウラカン580-2、後輪駆動というスペックから想像していたよりも御し易い、完成度の高いスーパースポーツだと思った。これならサーキットだけでなく、高速道路や公道のワインディングも走ってみたい、という気になった。コクピットから望む前後の視界が、ボディスタイリングから想像するより良好だったことを、最後に報告しておこう。

吉田匠│モータージャーナリスト
1971年、青山学院大学卒業と同時に自動車専門誌『CAR GRAPHIC』の編集記者としてニ玄社に入社。1985年、同社を円満退社、フリーランスのモータージャーナリストとして独立。『僕の恋人がカニ目になってから』(ニ玄社)、『男は黙ってスポーツカー』『ポルシェ911全仕事』『男は笑ってスポーツセダン』(双葉社)など、著書多数。

《吉田匠》

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