【MINI クーパーD 試乗】待望の5ドアディーゼルミニ、気に入っちゃいました…中村孝仁

試乗記 輸入車
MINI クーパーD 5ドアハッチバック
MINI クーパーD 5ドアハッチバック 全 16 枚 拡大写真

MINIのディーゼルモデルは従来、『クロスオーバー』と『ペースマン』にしか設定がなかったのだが、ついに『3/5ドア』モデル及び『クラブマン』にも設定されて、一気に6車種追加、合計10モデルとなった。

今回試乗したのはクーパーの5ドアのDと呼ばれるモデル。前置きとして、今回のディーゼルは、単にDと呼ばれるモデルが1.5リットル3気筒ツインパワーターボディーゼル。そしてSDと呼ばれるモデルは2リットル4気筒ツインパワーターボとなっている。したがって5ドアD は1.5リットル3気筒を搭載したモデル、ということになる。

実は1.5リットルと聞いて、かなり気になっていた。というのも僕が普段の足としているモデルが、同じ1.5リットル(ただし4気筒)ターボディーゼルのマツダ『デミオ』だからだ。まあ、デミオの場合ほぼほぼフルスペックにしてもお値段250万円には届かないが、MINIの場合はそうはいかず、確かに素のモデルの価格は318万円(消費税込み)だそうだが、試乗車はオプションてんこ盛りで、何と492万3000円。ざっとデミオ2台分ということになる。

こいつはいくらなんでも高すぎると思うが、まあ、必要なオプションだけ装備して350万円程度なら普段使いにできそうだ。最低限必要と思ったオプションは、アドバンスドセイフティーパッケージとETC。前者が17万2000円(消費税込み)、後者は6万9000円(消費税込み)で合計価格は車両を含め342万1000円となる。因みにETCは高いが、BMW系のモデルは室内のリアビューミラーに内蔵されたスマートなもので、付加価値は高いと思う。ナビはご自分で…。

ということで、デミオよりざっと100万円以上高いミニクーパー5ドアDでスタート。色々なワーニング音が喧しいミニだが、このワーニングが可愛いという女性は案外多いようだから、女性ユーザーを取り込むのはこういうところから…かもしれない。

さて、トグルスイッチを下に押してエンジンスタート。3気筒ディーゼルは思いのほか室内では静粛性が高い。今回から、エンジンはいわゆるモジュラー型となり、1気筒の排気量はすべて500ccである。従来型のペースマンなどに搭載されていた2リットルディーゼルと比較しても、そのパフォーマンスは上回っていて、116ps/4000rpmは、2リットルを4ps上回り、最大トルク270Nmは2リットルと同じだ。ただし、発生回転数は全体的にバンドが狭まり、1750~2250rpmとなっている。

まずはデミオのエンジンと比較する前に旧型2リットルディーゼルと比較すると、その音、振動の発生は、以前よりも圧倒的といえるほど小さく抑え込まれ、一旦走り出してしまうと、ガソリンとの区別がほとんどつかないほど。たった1.5リットルの3気筒とは思えないような力強さも正直従来の2リットル並といっても過言ではない。

そして何よりも今回からはアイドリングストップが付いた。従来アイドリング時の微振動がどうしても気になったものだが、こちらはエンジンが止まってしまうから全く問題はない。よしんばエンジンがかかっていたとしても、見事に調教されたおかげで全くといってよいほど気にならない。

日本市場ではとりあえずライバルとなる(そう扱ってもらえるかどうかは別だが)デミオの1.5リットルディーゼルと比較すると、まず走行時の音だが、定常状態ではMINIの方がレベルが低い。もっともトップエンドまで回すと明らかに3気筒のハミングを奏でるが、定常走行時はガソリン車ではチープな印象に聞こえる3気筒のサウンドが、ディーゼルにするとまるで気にならないという効果があることが分かった。最大トルクはだいぶMINIの方が上だから、特に試乗の場となった、河口湖周辺から富士山に登っていくワインディングなどでは、明確にMINIの力強さが印象的だった。

JC08モードで比較した時の燃費はデミオが上だが、実燃費となると果たしてどうか、こいつはもっと長距離を走る必要があるが、短時間の試乗で得た印象では、エンジンに関する限りMINIの方が上という感じであった。トランスミッションは従来同様6速AT。ただしフィーリングはすこぶる良くて、敢えて8速の必要性は感じない。さすがにボディの剛性感はMINIの方がだいぶ上。そのあたりはお値段に比例するのだろうか。いずれにしてもブランド力による高級感も漂って、MINIのディーゼル、かなり気に入っちゃいました。

■5つ星評価
パッケージング ★★★★
インテリア居住性 ★★★★
パワーソース ★★★★★
フットワーク ★★★★
おすすめ度 ★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来38年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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