その音に、プロは何を見い出すのか…クラリオン「Full Digital Sound」搭載の注目デモカー2台を、徹底分析

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TOYOTA・bB by SOUND WAVE(茨城県)
TOYOTA・bB by SOUND WAVE(茨城県) 全 14 枚 拡大写真

Clarion『Full Digital Sound』が発売開始されてから、3か月が経過した。当システムは既存のカーオーディオ愛好家を大いに刺激し、また、新たなファンの取り込みにも成功している。その注目度には未だ陰りが見られない。この新機軸システムの魅力の神髄は何なのか…。

そこのところを探るべく、2台のデモカーを取材した。1台は、茨城県の老舗プロショップ、“SOUND WAVE(サウンドウェーブ)”の「TOYOTA・bB」、そしてもう1台が島根県の人気店“Jclub (ジェイクラブ)”の「BMW・E60」。これらは、全国に数ある『Full Digital Sound』デモカーの中でも、特に異彩を放つ注目すべき2台である。実力ショップならではのコダワリが注入された、ユニークな仕様を携えているのだ…。

■サウンドコンテストで上位を狙えるレベルの、手の込んだインストレーションを敢行!

最初に、“SOUND WAVE”が製作したデモカー「TOYOTA・bB」からご紹介していこう。搭載システムは以下のとおりだ。

フルデジタルサウンドプロセッサー(サウンドプロセッサー/ツィーター/コマンダー)『Z3』(税抜定価:12万5000円)+フルデジタルスピーカー『Z7』(2本1組、税抜価格:8万7000円)+フルデジタルサブウーファー『Z25W』(税抜価格:7万3000円)、という陣容となっている。

コンセプトは、「持てる取り付け技術とチューニング技術をフルに投入して、『Full Digital Sound』の音質性能を100%引き出すこと」、である。要は、「“SOUND WAVE”ならば『Full Digital Sound』をここまで鳴らせる」ということをデモするためのクルマであるのだ。

象徴的なのはフルデジタルスピーカー『Z7』の佇まい。写真で、角度が付けられていることを見て取れるだろうか。これは同店の“サウンドコンテスト出場車仕様”とも言うべき、“勝ちに行く”ときのスペシャルなインストールスタイルである。

ホームオーディオのリスニングルームをイメージしてほしい。スピーカーを横に向けて置く人はいるだろうか。スピーカーは正面に向けられているはずである。真正面で聴いたほうが、スピーカーから発せられる情報を確実に受け取れるからである。

ところが、カーオーディオのドアに取り付けられたスピーカーは、リスナーのほうを向いてはいない。これでは情報量をロスしてしまうと“SOUND WAVE”では考えていて、サウンドコンテストに出場するようなハイレベルなシステムを搭載するクルマでは、できるだけドアのスピーカーに角度を付けて取り付けている。なんでも、数度向けるだけで相当にその効果が表れる、とのことなのだ。

それ以外にも、ツィーターの取り付け位置と角度の吟味を緻密に行い、ドア内部の“デッドニング”にも十分手をかけ、サブウーファーボックスの設計にも英知を注入してある。とことん高音質を追求した取り付けを敢行している。

サウンドチューニングにもかなりの時間をかけてある。エージングが進むごとにこれを見直し、大きなチューニング変更は計2回実行しているとのことだ。

こうして完成されているこの「bB」のサウンドがどれほどのものなのか、早速インプレッション・リポートをお届けしよう。

まず驚かされたのは、音の輪郭のシャープさだった。各楽器の音が一切混濁することなく描き出されている。1音1音が少しのにじみもなくクリアに再現されているのだ。その上で、音色がこの上なくリアルだった。例えば、ブラシ(ワイヤーが束ねられて作られたドラムのスティック)の演奏においては、ワイヤーの1本1本から音が発せられていることをはっきりとイメージできた。また、ボーカルは生々しく、管楽器も弦楽器も、楽器のボディがすぐそこにあるかのようなリアルさだった。ステージの再現性もすこぶる良好だ。立体感が十分で、それぞれの音の出所もはっきりと感じ取ることができた。

ドアのスピーカーに角度が付けられていることの効力も、ひしひしと感じ取れた。聴こえる音数が、通常のシステムで聴かれるそれよりも明らかに多かったのだ。輪郭のシャープさとリアリティは、豊富な情報量あってのことだと確信できた。

“フルデジタル”であることの利点を最大限引き出しつつ、その上で音に温かみもプラスしている。これもまた、情報量の多さの賜物だと思われる。音源をそのまま再現できている、ということに他ならない。完成度の高いサウンドが満喫できた。

そして改めて、Clarion『Full Digital Sound』の底力も思い知ることができた。これまでにも何台となくこれを搭載したデモカー、ユーザーカーを聴いてきたが、毎回新たな魅力を発見できる。この革新のカーオーディオシステムは、当初に感じた実力以上のものを持っているのかもしれない…。

さて最後に、同店店長の根本さんに、『Full Digital Sound』の可能性についてお訊きした。

「ある程度の予算内でシステムを完結させたい、その中で最高の結果(音質)を得たい、という方にとって、『Full Digital Sound』は有力な候補になり得ると思っています。パワーアンプとケーブルに予算を食われず、その分インストールに手をかけられますから、非常にリーズナブルにハイクオリティなサウンドを手にできるんです。それでいて、ハイグレードなパワーアンプを使うシステムと比べて1/10程度の電力ですむんですよ。Clarion『Full Digital Sound』はこれからのカーオーディオシステムとして、大いに存在感を発揮していくと思います」

■アナログ出力を活用して、“デジタル+アナログ”の3ウェイシステムにトライ!

続いては、島根県の“Jclub”が製作したデモカー「BMW・E60」をご紹介していこう。こちらはなんと、『Full Digital Sound』にアナログスピーカーを組み込んでのフロント3ウェイを実現している。『Full Digital Sound』にはアナログ出力が1系統備えられているのだが、それを利用した、初めてのデモカーではないだろうか。

システム構成は以下のとおりだ。フルデジタルサウンドプロセッサー(サウンドプロセッサー/ツィーター/コマンダー)『Z3』(税抜定価:12万5000円)+フルデジタルスピーカー『Z7』(2本1組。税抜価格:8万7000円)+フルデジタルサブウーファー『Z25W』(税抜価格:7万3000円)、そこにカロッツェリアのハイグレードスピーカー、TS-S1000RS(税抜価格:12万円)を追加している。

それをしている狙いはズバリ、“さらなる情報量の確保”である。3ウェイと2ウェイを比較したとき、単純に、中域の情報量の確保に関しては3ウェイに分がある。その利点を取り入れて『Full Digital Sound』がどのような化学変化を起こすのか…。この革新のカーオーディオシステムの可能性のすべてを試そうとしているのである。

ちなみに当デモカーでは、ミッドレンジの有る無しを聴き比べることが可能だ。純『Full Digital Sound』と、トライアル『Full Digital Sound』の両方を体験できる。

なお、当初こそ3ウェイサウンドのチューニングに試行錯誤したというが、現在は納得のいく音が完成されているとのことだった。ただ“Jclub”代表の大田さん曰く、「ミッドレンジに当デモカーとは違うユニットを使ってみても面白そう」とのことである。

“Jclub”に続いてこのシステムを試すクルマが出てこないものか…。『Full Digital Sound』の音がどこまでいくのか、非常に気になるところである。

さて、この独特な『Full Digital Sound』システムの音やいかに…。運転席に乗り込み、手持ちのiPhoneをソースユニットとしてシステムに組み込み、収めているテスト音源をスタートさせると…。

すぐさま目の前に、『Full Digital Sound』らしい、高解像度、高S/Nの、ハイレベルなサウンドステージが展開された。音の純度が高く、そして全体があくまでもクリア。各楽器の音色が研ぎ澄まされ、そして確実に分離していて、非常に見通しがいい。

音の立ち上がり、立ち消えも至ってハイスピードだ。特に低域でそれが顕著だった。重く太い低音であるのに、反応自体はとても軽やかなのだ。キビキビとビートが刻まれるので、音楽がノリ良く聴ける。

ステージの再現性も、『Full Digital Sound』ならではの正確さだ。3ウェイによる豊富な情報量を背景にして、立体感と定位感を原音に忠実に表現してみせている。

なお、組み入れられたミッドレンジは、主張し過ぎることなく、システムの中でスムーズな繋がりを見せていた。『Full Digital Sound』とアナログスピーカーは共存できる…。そのことをこのデモカーは証明している。アナログスピーカーの組み入れはアリだ。『Full Digital Sound』にはこういう楽しみ方もある。

“Jclub”の大田さんにはさらに、『Full Digital Sound』の印象と、これならではのメリットについてもお訊きした。

「革新性に興味を持ってデモカーでの使用を決めました。そして製品が納品され、デモボードでいろいろと実験をしてみたところ、アナログ製品とまったく遜色のない実力があることがわかり、正直ちょっと驚きましたね。思っていたよりも完成度が高かったのです。

特に良いと感じるのは、ハイレゾ音源再生です。1度もアナログ信号に変換されないことが、デジタル音源の再生において、メリットとして効いているのかもしれません。そして入力が多彩であることも利点だと思います。純正オーディオが交換できないシステムでは、この利点がさらに活きてきますね。気軽にシステムに組み込めて、さらにさまざまなソースユニットを取り入れて楽しむことが可能です。

これをきっかけに、新たなカーオーディオ・ファンが増えてほしいと思っています。その可能性も大いに感じていますし、『Full Digital Sound』には相当期待しています」

『Full Digital Sound』に興味を持ちながらも、まだその音を耳にしたことがないというのなら、ClarionのHP内にある「Full Digital Sound Special Contents」の中の“Full Digital Sound 地域別取扱・販売店リスト”をチェックしよう。その中からお近くの、デモカー、もしくは試聴機のあるショップを探して、サウンドを体験しに行ってはいかがだろうか。

<地域別取扱・販売店はこちらでチェック!(デモカー/デモボード試聴の際には、事前にお店にご確認ください)>
http://www.clarion.com/jp/ja/special-contents/fds/shop-list/index.html

そして、“SOUND WAVE”もしくは“Jclub”のお近くにお住まいならば、これらのデモカーの音を早速聴きに行っていただきたい。『Full Digital Sound』の実力を、余すことなく体感できる。ぜひ。

その音に、プロは何を見い出すのか…。革新のニューカーオーディオシステム、Clarion『Full Digital Sound』搭載の注目デモカー2台を、徹底分析!

《太田祥三》

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