高校生がSUPER GTメカニック体験…黒田雄紀くん「真剣勝負の空気」

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SUGO戦の予選日、ARTAに“一日メカニック”として加わった黒田雄紀くん(右)。
SUGO戦の予選日、ARTAに“一日メカニック”として加わった黒田雄紀くん(右)。 全 8 枚 拡大写真

SUPER GT第4戦の予選日(7月23日)、ひとりの男子高校生が最高峰のレースフィールドで“一日メカニック”という貴重な体験をした。「ZF KIDS DREAM JOB」に参加した黒田雄紀くんは「真剣勝負の緊張した空気が伝わってきました」と感想を語っている。

「ZF KIDS DREAM JOB」は、SUPER GTにシリーズパートナーとして深く関わっている自動車部品サプライヤー大手「ZF」(本社ドイツ、SUPER GTにクラッチを供給したり、ZF AWARDというメカニック表彰を実施したりしている)が主宰するプログラム。SUPER GTの予選日という本番舞台でメカニックやチームマネージャー、場内アナウンサーなどの“職業体験”をしてもらい、将来のモータースポーツ界を支える可能性をもった少年少女たちの夢をさらに大きく育もうというものだ(10~18歳対象、応募したなかから厳正な審査の上に選ばれた者が参加)。

宮城県のスポーツランドSUGOで開催された第4戦でメカニック体験に参加したのは広島県在住の16歳、高校2年生の黒田雄紀(くろだゆうき)くん。鈴木亜久里監督率いるAUTOBACS RACING TEAM AGURI(ARTA)のGT500クラス参戦車「#8 ARTA NSX CONCEPT-GT」の一日メカニックとして、ボディやホイールの清掃、タイヤの運搬や空気圧チェックに表面クリーンアップといった仕事を、第一線で戦うプロの先輩たちに混じって体験した。

黒田くんの応募動機は「僕はクルマが好きで、特にクルマの仕組み、メカニズム面に興味をもっています。ですから整備士のような職業の人たちを尊敬していますし、レースのメカニックの方々に実際に会ってみたい、と思っていたんです」というもの。実際にプロのレースメカニック、それもSUPER GTという最高峰の舞台で活躍している現役メカニックたちの仕事を真横で見ての感想を、黒田くんは「プロの方々はテキパキしていますし、『指示される前に自分で予想して動くんだ』ということをおっしゃっていたのが印象的でした」と語る。

体験したなかには、走行後のタイヤ表面を綺麗にする作業もあったが、「(自分には)すごく難しい作業でしたし、走行直後はタイヤが熱いんですが、プロの方々はすぐに作業をされていました。凄いなと思いました」と、プロの技や気迫に驚かされることも多かったようだ。これは観客席やテレビの前では絶対に分からないことだろう。

さらにはこんな実感も。「言い方がおかしいかもしれませんけど、おカネのかかっている場所ですし、プロの真剣勝負の場での緊張した空気というものが伝わってきました。本当にいい経験をさせていただきました」。

これまでもレース関連の仕事に就くことをいろいろ調べたりしていたそうだが、「きついですけど、やっぱりそれ以上に面白いです」という実感をもったことで、整備士関係、なかでもレース系の仕事に進みたいという気持ちがより具体的に強まったようだ。

くしくもこの日は、プロ野球・広島東洋カープの黒田博樹投手が日米通算200勝を達成した日。同じ“広島の黒田”といっても、黒田投手の偉業と比べれば、黒田くんが得た経験は(貴重とはいえ)小さな小さな一歩に過ぎない。だが、彼の熱意は一層高まったはずであり、そう遠くない未来に本物のプロとしてSUPER GTのレースフィールドに立つという夢の実現に向けて、今回得た経験が彼の背をさらに前へと押し出すことだろう。そしてこの一歩が、将来プロとなった時には大きな糧ともなる。

黒田くんの今後に期待するとともに、モータースポーツの世界で働くことを夢見る多くの少年少女たちにはこれからも「ZF KIDS DREAM JOB」で素晴らしい体験をしてほしいものだ。このプログラムは今季残りのSUPER GT国内大会、8月の富士戦&鈴鹿戦と11月のもてぎ戦でも実施される(富士戦は募集終了、鈴鹿戦は7月28日締め切り)。

《遠藤俊幸》

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