【トヨタ パッソ / ダイハツ ブーン 新型】トヨタとダイハツの2フェイス戦略、その意図

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ダイハツ ブーン シルク
ダイハツ ブーン シルク 全 8 枚 拡大写真

トヨタ『パッソ』/ダイハツ『ブーン』は、ニュートラルな標準車と、上質感を醸し出す『パッソモーダ』/『ブーンシルク』という、ダイハツが得意とする2フェイス戦略によるデザインを採用している。

パッソモーダ/ブーンシルクのデザインについて、「標準車より若干価格が高いので、上質感や艶やかさなどで差別化した」と話すのは、ダイハツ工業デザイン部第1デザイン室東京デザイン課長の清水幸治さんだ。デザインテイストを標準車の四角から丸にすることで、「質感を情感に訴えるようなデザインにした」という。

ではなぜ丸なのか。「それは少し柔らかくすることで、質感を高く見せるためだ」と清水さん。しかし、「単に丸くするのでは、丸っこいクルマで終わってしまう」と話す。そこで、「基本のスタンスをしっかりとさせた。特に今回はホイールベースも伸びて、トレッドも広がったので、その骨格の良さをしっかりとした形で、安心安全を訴求。下半分はスクエアなワイドなデザインで、下にどんとバランスを持ってきている。そういったことを考えながら、安心安全と、上質感を表現していったのだ」と説明。

その結果、「標準車はニュートラルな衣装、安心安全ということを目で見てわかるデザインテイスト。モーダ・シルクは好きだから、このクルマを見に来たという指名買いの世界観を持たせた」と述べる。

この2フェイス戦略では、トヨタとダイハツで打ち出し方に差が出た。トヨタは標準車を、ダイハツは上質方向のブーンシルクをメインに据えている。これは、「トヨタの価格帯の中では一番安くて小さいクルマがパッソなので、価格帯が安い標準車を打ち出している」と清水さん。

一方、「ダイハツは軽をメインに売っていることから、その価格とラインナップを考えると、ブーンの上級グレードを訴求するという販売面でも戦略を立てた」と説明。また、「指名買いをするクルマはどういうものかと考えながら、好き嫌いが極端に出て、棄却理由ならないように、しっかりと骨格を良くしながら、艶やかさを表現していった」と語った。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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