東武、昭和の蒸気機関車時代…面影残す千住のレール[フォトレポート]

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東武千住線・千住貨物駅へと続くレールが残る。その上を京成スカイライナーが行く
東武千住線・千住貨物駅へと続くレールが残る。その上を京成スカイライナーが行く 全 20 枚 拡大写真

JR北海道の蒸機 C11 207 が東武鉄道の線路に載り、2017年4月に試運転が始まる日光線・鬼怒川線界隈。その浅草方でつながる伊勢崎線には、50年前の蒸気機関車時代の面影を残すレールが残っている(写真20点)。

現場は、東京都足立区千住関屋町18、東武の牛田駅、京成の関屋駅から東に200メートルほど歩いたところ。墨堤通りの歩道から、重機や廃棄物が置かれた私有地へと続くレールが見える。

この付近には、「千住線」という貨物線と、それにつながるヤード「千住貨物駅」があった。東武鉄道が蒸気機関車や電気機関車を保有していたころに存在した線路で、私有地へと続く線路はその名残。

千住線の現役時代の線路は、現在の「東武千住第二センター」という建物の東側を回り込むようにカーブを描き、墨堤通りと平面交差し、都営千住関屋町アパート付近にヤードが広がっていた。

1枚目の1936年の航空写真(国土地理院)を見ると、伊勢崎線から分岐した千住線のレールは、隅田川左岸ぎりぎりまで敷かれていたことがわかる。さらに、ヤードの中に入り組むように船着場が見える。

また当時の写真を見ると、有蓋車(ワム)、無蓋車(トム)などをけん引して、墨堤通りを横切る蒸気機関車の姿が載っていた。またその後、千住線も電化され、東武の電気機関車がセメント車(ホキ)などを引く姿もあった。

この船着場・千住貨物駅を中継点として、隅田川を行く船運の荷物や、ワム・トムで運ばれた物資が行き来したか。この付近には転車台や給水施設などもあったという。

また、3枚目の1966年の航空写真には、千住貨物駅に入り組んだ船着場は埋め立てられ、更地になっているのがわかる。

東武鉄道は明治期、英国ベイヤー・ピーコック社製の蒸気機関車(B1形、国鉄5500形)を導入。これら蒸機は、東武線内の貨物列車をけん引するなどで、1960年代前半まで活躍した。

明治時代から1960年代まで活躍した東武の蒸気機関車たちのなかには、スクラップを逃れいまも保存されているカマもある。東武動物公園駅の500m南、宮代町役場には、5650形として日本鉄道・国鉄の東北線や高崎線などで活躍し、大正時代に東武鉄道に譲渡された40号機(B1)が、東武博物館では5号機、6号機が保存・展示されている。

こうした蒸機たちが東武の線路上から消えてから半世紀。8月19日、北海道から C11 207 が南栗橋車両管区に到着し、再び東武の線路上に蒸気機関車が現れた。そのときのドキュメントは、同社8月19日付のニュースリリース「JR北海道より借り受けるSLが当社南栗橋車両管区(埼玉県久喜市)に到着!」に掲載されている。

《レスポンス編集部》

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