クラウド連携、自動運転専用ECUのプロトタイプ開発も…オール日立の取り組み

自動車 テクノロジー ITS
日立オートモーティブ(HAS) 常務執行役員 CTO兼技術開発本部長 川端敦氏
日立オートモーティブ(HAS) 常務執行役員 CTO兼技術開発本部長 川端敦氏 全 13 枚 拡大写真

31日、日立オートモティブシステムズ(HAS)と茨城大学による自動運転分野における包括共同研究に関する記者説明会が開催された。その席で、同社のサプライヤーとしての自動運転技術の戦略についても言及があった。

【画像全13枚】

茨城大学 工学部教授 梅比良正弘氏は、最初の共同研究テーマにミリ波レーダーと画像認識技術を挙げた。現在、自動運転における周辺環境認知のためのセンサー技術として3次元スキャナー(LIDAR)に注目が集まるが、コスト、測距精度といった面でミリ波レーダーによるセンシングも欠かせない。梅比良教授によれば、ミリ波レーダーも複数使えば、対象の形状をある程度とらえるなど、応用の可能性は高いという。また、近い将来、ミリ波レーダーやLIDAR搭載車両が増えてくれば、混信や干渉の問題が避けられなくなる。このような点も研究課題として意義が高いという。

HAS常務執行役員 CTO兼技術開発本部長 川端敦氏は「日立にとって自動運転技術は単なるADASではなく、環境問題、高齢者問題など社会的な問題に対するソリューションととらえている」と述べる。

技術面では、HASはすでにパワートレーン、エンジン、シャーシ、電装品、走行制御などさまざまなコンポーネントを自動制御技術とともに手がており、カーナビ・IVIの分野ではクラリオンを傘下に収めている。自動運転では、これらのコンポーネントを統合制御する必要があるが、日立グループとしてはさらに、クラウドやネットワーク、情報セキュリティ技術などコネクテッドカーに欠かせない基盤事業も保有している。

HASは自動運転に必要な技術、インフラをワンストップで統合化でき、完成車メーカーにはシステムとして自動運転技術を提供できる強みがあるとする(川端氏)。たとえば、同社の技術なら周辺環境の認知においてステレオカメラ+単眼カメラ(計4個)とミリ波レーダー4個で、LIDAR、GPS、複数のカメラを使ったADASよりローコストで自動運転支援を実現できるという。自動制御アルゴリズムや機械学習などADASの判断機能に相当するプロセッサについても、量産可能な専用ECUの開発を進めている。

専用ECUについては、詳細はまだ発表できないとのことだが、リアルタイム系のOSを搭載し、各種コンポーネントの制御アプリケーションの他、機械学習演算の実行、通信など上位レイヤアプリケーションなどの実行も視野に入れている。

グループを巻き込んだ取り組みは、確かにコストメリットや開発期間の短縮などの効果は期待できる。また、システム単位での提供は、メーカーとして使いやすい反面、他システムとの共存、組み合わせがしにくくなるという欠点もある。HASの自動運転技術を導入すると、他社のコンポーネントが使えないのではないか、という懸念だ。

この点について川端氏は、「各コンポーネントはスタンドアローンで機能する設計になっており、専用ECUもハードウェアレイヤの違いを吸収できる仕組み(HAL:Hardware Abstruction Layer)も用意される」と、疎結合の統合システムであることを示唆した。

コンチネンタルのようなグローバルサプライヤーやモービルアイのようなベンチャーに対して、HASはオール日立で強みを発揮したい所存だ。

《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

+ 続きを読む

ピックアップ

レスポンス公式TikTok

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 光岡自動車、ノア / ヴォクシーの新型搬送車発売…機能を絞って
  2. カワサキ『Ninja H2 CARBON』2027年1月23日発売決定、国内300台予定で418万円
  3. ホンダ『ZR-V』の顔が大胆に変わる!? 2028年、大幅改良の進化ポイントは
  4. レクサス『LBX』一部改良、乗り心地の向上と新色追加…445万円から
  5. ホンダ『ヴェゼル』改良新型、快適装備を拡充…価格は277万7500円から
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. EU「欧州製EV」優遇へ、産業加速法を審議---売れるEVと売れないEV
  2. 全ての体格に対応する後席用新型シートベルト、ZFが2025年央発売へ
  3. スカニア、中国で新事業開発組織「VNBC」設立…電動・自動運転輸送を加速へ
  4. 【セミナー見逃し配信】※プレミアム・法人会員限定 欧州自動車産業の次の一手、欧州の現場で何が起きているのか~EV減速局面・SDV/AIへの移行・中国勢の浸透~
  5. インド国産化の進め方、事業の核の築き方【インド・新自動車大国の素顔】
ランキングをもっと見る