矢崎エナジーシステムとユーピーアール(以下upr)は9月9日、物流業者向けIoTテレマティクスサービスを共同で開発し、2017年3月からタイで運用を開始すると発表した。
矢崎エナジーが2015年8月からタイで展開している広域通信機能内蔵のクラウド型デジタルタコグラフを使ったテレマティクスサービス『iQsan(イッキューサン)』に、uprの920MHz帯アクティブRFID技術を利用したクラウド型パレット管理システム『スマートパレット』を組み合わせることで、これまで個別に管理していた車両、ドライバー、荷物の情報を一元的に管理するというもの。
具体的にはiQsanに接続されたスマートパレット用リーダーを通じて得られる貨物の個体情報を始め振動や温度状況などを管理サーバに収集、蓄積。これにより従来のiQsanで得ていた車両やドライバーのステータス情報に加えて、搭載貨物のステータス情報も同時にリアルタイムで可視化することができる仕組み。
矢崎エナジーの矢崎航社長は同日、都内で会見し、「しっかりと見える管理を行うことで、タイの経済の発展にさらなる寄与ができると期待している」とした上で、「まずは現地の日系企業を中心に展開し、初年度は50社、3000台の導入を目標にしている」と述べた。
タイでは交通事故死者数の増加を受けて業務用車両へのGPSの装着が16年に義務化され、テレマティクスのニーズが急増している。その一方でASEAN域内間の物流拡大で運搬中の貨物の破損や温度状況の把握、盗難防止などを含むトータル管理に対するニーズも高まっている。こうした背景から両社が今回、iQsanトータルサポートサービスを共同で開発したもの。まずiQsanの運用が実際に行われているタイでサービスの提供を開始し、その後、マレーシアやラオスなど周辺国にも拡大していくとしている。