【東武SL】南栗橋に50年ぶりのけむり…C11に火が入る[フォトレポート]
鉄道
企業動向

気温30度を超え始めた12日13時、南栗橋駅から歩いて20分ほどのSL検修庫は、同管区北西寄り、日光線の本線から最も離れた位置にある。
庫内にはC11を囲むように、東武の役員・幹部30人、それを囲むようにメディア陣が50人。さらに釜の後部に機関士・機関助士ら10人。各陣営の挨拶が続き、根津嘉澄社長がトーチ(たいまつ)を両手に運転室へ。「てんかぁっ」の声とともに、C11の煙突からゆらゆらと薄黒いけむりがあがった。
小さく「シューッ」。C11の息づかいが聞こえてきた、と思ったら「それでは記念撮影でーす!」。幹部陣30人は、ほっとした面持ちで、ひな壇状に並び、メディアたちのフラッシュを浴びた。
「プワッ」という軽いクラクションが鳴り、南側からアント(入換用動力車)が近づいてくる。何度もクラクションを鳴らし、C11と連結。ゆっくりと庫内から引き出されてきた。「次はSL単体での撮影になりまーす」と。
機関士側の窓の下には「28-7 苗穂工」の白文字。その上の区名札が入る部分には何も付いていなかった。「いまのところ、どういう名前のものが入るかは未定」と東武関係者。北海道で走っていたころと同じ姿に戻った“東武釜”は、太陽の下に移されると、にぶい黒色がきれいに見えた。
「軸、軸を!」。鉄道専門誌の撮影グループが威勢よく作業員に伝える。聞けば、正しいロッドの位置があるらしく、「あともうちょい」といった細かな指示でやっと停止したそのポーズは、ビシッと決まっていた。
1966(昭和41)年に東武の線路から蒸気機関車が消えて、ちょうど50年。秋空のもと、ふたたび東武に蒸機のけむりがあがった。
《レスポンス編集部》